彼はその記述のなかで、ペストは虚弱な体格の者は見のがし、特に強壮な体質の者を破壊するということを読んだのを思い出した。
-ベルナール・リウー
天災は、天の災いはそう選択したのだ──いかにも、神様っぽい御慈悲だわね。
一方コロナは、強壮な体質の者を見逃し、虚弱な体格の者を破壊するのでないかしら?だとしたら、至極普通だわね──だって人災、人の災いだもの。
もっと悪い事には、虚弱も強壮も見境なし、無差別ってのもあり得るけど、これは流石に神様が止めそうな気もする……妖精なんか使ったりしてさ、せいぜい陽性にならない事だよキミ、コロナだけに、陰陽が陰の世界にinしてりゃあ良いんだから、引きこもりや世捨て人は今まで通り、何も変わりゃあせんよ……
という訳で久しぶりのカバーMVはこちら、髭です(公式の英語表記ではHiGEです)。
髭は高校の友達に教えてもらって(いま愛用している赤いストラトをくれた友人)、もう十数年は聴いているけど、最近やっとその全貌が見えてきて、心から好きと言えるようになりました。
もともと嫌いという訳ではなかったけど、学生時分に引っ掛かっていたのが歌詞とか曲名その言葉選びのセンスで、ブルーハーツみたいな直球勝負ではなかったし、イエモンが如く“意図の見える”よな捻くれでもなし、何か言いたい事や演りたい事が判然としないよな、がメロディーは超ポップで知らん内に癖になるし、コード進行もユニークで多幸感に溢れていて気持ち良いし、その真意が分かる迄もうちっと聴いてみっか、という感じでした。
結果、手前が物知らず、世間知らずであった事も段々と分かり、今はタイトルや詩の節々で「あ、それのことね」ってなるし、そうでなくとも無意味が意味のカットアップ的なノリを楽しめるようになりました。
演奏はガレージでサイケだし、オルタナでグランジだし、個人的にはグラム感もあると思う(髭の須藤さんはユニコーン好きだからグラムの隔世遺伝かもしれぬ)が、ジャンルや時代を縦横無尽に超越っちゃってすこぶる最高ぢゃん?と聴く度に昂(たかぶ)ります。高校の友達も当時、こんな気持ちで聴いていたのかな?つぎ会ったら答え合わせしてみよ。
今回の服装について、件(くだん)の親友および須藤さんも好きであろうニルヴァーナ、のカート・コバーンが掛けていた白のオーバル型サングラスをまず真っ先に着用。下は適当にジーンズとコンバースでキメて、上にはハリキリすぎた坊やたちのブリティッシュなジョーク満載のトレインスポッティンTを着用(続編の“T2”も悲劇過ぎて喜劇だった)。これで完成、俺・オルタナ・2020夏。そういえば、我がバンド・Unfinished Balladesの日めくりツイッターで、一年前の今日はこんなツイートをしておりました。
一年越しに伏線回収と……あ、撮影は原宿にあるMOSHI MOSHI ROOMSというイカした宿の屋上を借りて、Cosmic Hallsのそまちゃんに撮ってもらいました。地上5、6階の高さで周りに大きな柵も無いスリリングな屋上で、気温30度超えの真夏日の中、そまちゃん本当にありがとうね!!おかげさまで白昼堂々、宇宙と直結できました。
最後に、今回のカバーMVを演るに至った動機を明らかにすべく、一編の詩を詠ませて頂きます。
最後に、今回のカバーMVを演るに至った動機を明らかにすべく、一編の詩を詠ませて頂きます。
「ワシントンのアバディーン」
by Nori MBBM
ワシントンのアバディーン、雨の匂いが、曇る空と、90年代のくすんだ車たち、日本にしか居るはずのない、あるはずのない僕の思い出が、アメリカでも生きている。
やあマッドハニー、泥に塗れて叫び出し、救いの手を一切差し伸べず、元気のある事だけを証明する、その態度が、とても好き。
ビッグマフとイカれたギターリフ、ヘビィメタルとガレージパンク&ハードコア、異常に陰険、非常に陰湿、アングラベイビーな僕には救いとなる。
ワシントンのアバディーン、在りし日のジャパニーズ、くすんだ色のいつかの僕が居る。
8月30日──赤いストラトをくれた高校の友達の誕生日、ないしカートが車椅子に乗ってレディングに現れた日──
8月30日──赤いストラトをくれた高校の友達の誕生日、ないしカートが車椅子に乗ってレディングに現れた日──
カートもジミヘンも最期はアコギで、アコギで落ち着いた音楽を演りたかったって、だから僕が地元を思い出させてあげる、君の故郷を想い出させてあげるって。
ワシントンのシアトル
僕の背後に
ワシントンのアバディーン
君とカートに
ワシントンのシアトル
僕の背後に
ワシントンのアバディーン
君とカートに
