2019年5月1日水曜日

30歳:令和元年、五月一日

ツァラトゥストラは、三十歳になったとき、自分の故郷と故郷の湖を捨てて、山にはいった。そこでかれはおのが精神の世界に遊び、孤独をたのしんで、十年間倦(う)むことがなかった。
-フリードリヒ・ニーチェ

 三十年間倦怠感。無知をも知らぬ馬鹿。精神欠乏。

 登るのに、籠(こも)るのに、帰るのに、山が必要、魔の。降りるのに、下(くだ)るのに、還(かえ)るのに、谷が必要、百合の。

 ここから十年、独りの旅が始まるだろう、いや、始めなければならぬ。

 おうし座──持ち越してきた言葉と音を、新しいだけの世界に馴染ませてゆく。誰かの文学と音楽に影響された我が世界、我が文学と音楽の伝播・波及した誰かの世界。新しいだけの時代はそうやって、我々が確かに一つずつ形作ってゆく。

 独りの旅を始める前に、我々で、バンドで、最後にやらねばならぬことがある。


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 手前味噌になるが、Shinさん作曲のナンバーに私が詩をつけた一節を。

この街の寂しさって
僕の心、君の心で
作られてるんだって
君は信じられるかい?


未来都市、摩天楼
知らない人たちの群れ
大通りで立ち尽くして
僕は我に帰ったんだ


~Unfinished Ballades「横浜ブレードランナー」より~



 高円寺駅前の花屋で花を買った──白いフリージアの花言葉は“あどけなさ”──29歳までの私へ贈る。もう堂々として良い。


 暗黒の十代、狂乱の二十代、黄金の三十代へ。

 ミチロウさん、あなたから独りで生きる強さを教えて貰いました。涙も出ないくらい辛くて心から消えたい時、真夜中に独りで外へ飛び出して、早朝、誰も居ない京浜東北線のホームであなたの弾き語りを聴いて、少し生き延びました。だって、遠藤道郎は独りで生き抜いた人だったから。ヒロトの言っていた“パンクロックが好きだ、優しいから好きなんだ”って、これか。ミチロウさん、いい加減あなたの顔は忘れてしまいました。そして、あなたは偉かった。


 義理人情より優先しなければならぬものがある。自己中心に思われる、他者からは勿論、当人でさえそう判断しかねない。誰に頼まれた訳でもない誰の仕業、鬼畜も眼を丸くするよな鬼畜の所業、単なる宿命。

 多分、大切な人をまた失うだろう。せっかく出逢えた世にも稀な理解者を、世にも奇妙な宿命によって理解できず仕舞いで亡くすだろう。痛み伴う前にこう簡単に失言し、後から何年も何年も苦しむのだろう。止めたら良いのに止められない、辞めたら良いのに辞められない。ポーかな、ゴッホかな、宮沢賢治かな……みな御忠告どうも有り難う、でもやるね、やらねばならぬからね、皆がそうした様に。

 生きている内は上手くやらねば、再生数稼がねば、“いいね”貰わねば。承認欲求満たさねば、色恋でもせねば、ねばねばねばねば。馬鹿野郎うるせえ、俺が閻魔なら貴様ファイヤーだ、いやバーニンだ、それよかやらねばならぬことがあるだろう、大事なものがあるだろう──のつそり、のつそり、五重塔。

左様ならと清吉は自己(おの)が仕事におもむきける、後はひとりで物思ひ、戸外(おもて)では無心の児童(こども)たちが独楽戦(こまあて)の遊びに声々喧(かしま)しく、一人殺(ごろ)しぢや二人殺しぢや、醜態(ざま)を見よ讐(かたき)をとつたぞと号(わめ)きちらす。おもへばこれも順々競争(じゅんじゅんがたき)の世の状(さま)なり。
-蝸牛露伴

 子供らしい無邪気で残酷な遊び、いずれ大人が無邪気に残酷をする、その先払いが戯れ、早いほど利子も付けられるかな。

 だからおらぁいちぬけた!くだらんくだらん!子供の全部が全部大人に憧れると思うなよ!くだらんくだらん!ばーか!


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 追伸、、


整理番号“99”だぜ……イエモンの「9999」といい、ひいじいちゃんが見ているに違えねえ(あゝ九右ェ門様、私です、憲宏です)

 今日は近所の野方にロックスター降臨。短編映画の演技も生トークショーも、あの“付録ラジオ”の志磨さんの話し方のまんまで(当然か)、ニヤリとしてしまった。

 何が大型10連休だ、何が30歳の誕生日だ、何がゴールデンなウィークだ、って感じの連勤地獄で寝る間も無いグチャグチャの労働生活の真っ只中、“こんなもん軽く捻り潰してやるわ”と仕事の合間にダイブして、やりたいこと、やるべきことをやっている。露伴の書いた「五重塔」の十兵衛が如く、拙者は待ちに待った“30年”の塔の完成に悶えて居る。

 今日は良い日だ、いや力尽くで良い日にした、これから仕事だバカヤロ行ってきます!!

 平成よ付き合って呉れて、どうも有難う!!!


 よっしゃ令和元年、どうぞ宜しくお願いします。


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