外出自粛要請だろうが緊急事態宣言だろうが、誕生日はやって来ますね。こちとらグラムロック、グラムロッカーですよ。聖地(ないし性地)・新宿二丁目で、ニューヨーク・ドールズですよ。
ニューヨーク・ドールズは、ジョニー・サンダースのクスリ漬けの危なっかしいフラフラのギターが、聴く者の耳や胸を闇雲に刺しに来るのですが、今回はアコースティックな「ロンリー・プラネット・ボーイ」であります──何ですかエレキを止めて、急に優しくしてきて、寂しがり屋さんですか貴方は、ミーにこっそり打ち明けるんですか、素直な表情を見せたりするんですか、しかし初めて聴いたその日から好きになりましたよ私は──何とも愛くるしい楽曲です。
店内にはカービィのほか虎の頭が……グラムロックだ、ボランちゃんだ
早速いつもの様に、英語の原詩と我が日本語詞を載せておきます。この曲、ジョニー・サンダースがソロになってからのライヴでも歌っていたから、てっきり彼が制作に関わっているのかと思いきや、クレジット上は作詞作曲すべてボーカルのデヴィッド・ヨハンセンなんだね(ギターリフくらいはジョニーが考えた気もするけど)。
「Lonely Planet Boy」
作詞・作曲:デヴィッド・ヨハンセン
It's hard
It's so hard
And it's a lonely planet joy
When I'm in the sun from your the other boys
That's when I'm a lonely planet boy
And I'm tryin', baby for your love
Whoa, whoa, whoa, yeah
Oh, you pick me up
You're out a-drivin' in your car
When I tell you where I'm goin'
You're always tellin' me it's too far
Well how could you be drivin'
Down by my home
When y'know, I ain't got one
And I'm, I'm so all alone
Whoa, whoa, whoa, yeah
Oh, it's a lonely planet joy
When in the sun from your other boys
That's when I'm a lonely planet boy
And I'm tryin', oh, I'm cryin', baby for your love
Whoa, whoa, whoa, yeah
Oh, it's so lonely
Whoa, whoa, whoa, yeah
Oh, can't you hear me callin'
I'm a thousand miles away
And I don't wanna stay
I'm thinkin' words I gotta say
'Cause I wanna be there witcha
And I know what to bring
I remember from the days
You got over everything
Whoa, whoa, whoa, yeah
Oh, it's such a lonely planet joy
In my sun from your other boys
That's when I'm a lonely planet boy
And I'm tryin', I'm cryin'
Can't y'see I'm dyin'
Baby, for your love
Whoa, whoa, whoa, yeah
Whoa, whoa, whoa, yeah
Whoa, whoa, whoa, yeah
My little runaway…
日本語詞:Nori MBBM
ハード
人生がハード
孤独な惑星の僕です
他の男もそうですが
まさに“ロンリー・プラネット・ボーイ”は僕です
愛されたくて
Whoa, whoa, whoa, yeah
僕を拾っておくれよ
君の車ん中
行く先どこだろうと
君は遠い目か
目的は訊かないでドライヴに
お家はどこ
わかりません、だって無いもん
ひとりぼっちはここで降ろされます
Whoa, whoa, whoa, yeah
んでもって
孤独な惑星の僕です
他の奴よりそうです
僕が“ロンリー・プラネット・ボーイ”
がんばっちゃうもんね、寂しいもんだよね
LOVE LOVEしようね(by 吉井和哉)
Whoa, whoa, whoa, yeah
Oh, it's so lonely
Whoa, whoa, whoa, yeah
ちょっと聴いておくれよ
彼の彼方から
此処から出ようよ
空っぽの殻から
君のそばが良い
君がしたいこと
忘れていたことのすべて
僕が思い出す
Whoa, whoa, whoa, yeah
お別れに
孤独な惑星の僕です
歌う太陽光線、僕が
“ロンリー・プラネット・ボーイ”
がんばっちゃうもんね、寂しいもんだよね
それもあるんだよね(by 吉井和哉)
消えたくなるね
Whoa, whoa, whoa, yeah
Whoa, whoa, whoa, yeah
Whoa, whoa, whoa, yeah
僕の可愛い現実逃避…
この訳のポイントは、原詩の意味を踏まえながら、吉井さんの歌詞も引用したところかな(イエモンのグラム歌謡メタル野郎な名曲「LOVE LOVE SHOW」からね)。
(by 吉井和哉)という箇所がそうなんだけど、これはバクチクの今井さんが「Sid Vicious ON THE BEACH」ってナンバーで(昔から思っていたが凄いタイトルね)、スターリンの名曲「ロマンチスト」の代表的なサビの一節を(by 遠藤ミチロウ)と表記して引用していた、その更に引用です、引用というやり方の引用です(ややこしいワ)。それから今井さんはキング・クリムゾンも引用しているわね(“混乱こそ我が墓標とつぶやいたあゝ、あっ、あゝゝ”ってところエピタフってるワ)。
この目に見覚えない?そう、もう始まっちゃってるんだよね(関暁夫)
歌前の私の台詞はドールズの代表曲「ルッキング・フォー・ア・キス」より、最後の締めの台詞はドールズのみならず全パンクスにとって永遠のアンセムである「トラッシュ」より、それぞれ引用(てか引用しすぎじゃね)。“ニューヨーク・ドールズが大好きです”という事を分かって欲しくて。
歌をレコーディングした日が、たまたまジョニー・サンダースの命日4月23日だったので(「歌っちゃおうかな」と思った当日、何となくジョニーの事をネットで調べてビックリおったまげ)、ジョニーへの御挨拶も急遽、曲中に入れときました。俺が2歳になる直前に黒い星となったけど、そちらでは疫病など流行っていませんか?変わらずに、お元気ですか?
新宿二丁目のジェンダーがフリーなバー、次は撮影ぢゃなしに女装して行くバー
撮影時の服装に関して、家にあった厚底がブーツでなしラバーソールのスニーカーだったのでソレを履き、ドールズが居なきゃ出て来なかったであろう80sグラムメタルなモトリー・クルーのパンクTを着て、去年のhideさんのお墓参りの時も着ていった大切なレザーのナポレオンジャケット一張羅を羽織り、最後に黒のキャスケットね、とってもドールズでジョニサンな気分よ、ポリスハットがあれば尚良かったけどネ。
入口から牢屋、足枷の鉄球までぶら下げて、牡牛のミーを帰らせないつもりなの?
今回はドールズの歴史的名盤(かのエアロスミスもキッスもピストルズもひれ伏す)であろうファーストアルバムからの選曲でしたが、個人的にはカラフルでポップで限りなく安っぽいセカンドの方がもっと好きなのだ。
ドールズのファーストはやっぱり“デキる長男”って感じで、堂々とした風格や燻し銀の様な凄みがあるし、パンクだしグラムだしハードロックだしブルースだしフォークだし、問答無用でジャンルを越えた名盤なのは理解できるものの、セカンドの“アピールしてくる割に大した事ない弟”って感じ、これぞ紛れもなくお馬鹿なグラムロック、全曲ホント好きよ“Too Much Too Soon”マジL-U-V♥
今日はドールズのセカンドを聴きながら寝ようzzz
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最後に、今回の世界的なコロナ禍で思った事は、ここ日本でも先行きが見えず、多くの人が職を(学生なら学業を)失くし、おまけに外出も控え、密にならずに過ごすということ、個人的にいつもと何ら変わりないし、いや生活面では人並み以上にあったけど、精神的には何の変哲もなし。仮にこの新型コロナがいつか治まっても、自由になったとは誰よりも思わないだろうし。
いままでも、これからも
へい、ろんりぃぷらねっとぼぉい
へい、しょうようじざい
へい、ぐらむろっかぁ
いままでも、これからも
もしも、グラムロックや歌謡曲やヘビィメタルやシャンソンが禁止されたり息絶えてしまったら、それは滅茶苦茶に心底堪えるだろうが……
ミーやユーが亡くなったりしたら、それは致し方無い。
トイレ前のディヴァインが俺に呟いた──「Happy birthday to you」──パーン
わが市民たちも人並以上に不心得だったわけではなく、謙譲な心構えを忘れていたというだけのことであって、自分たちにとって、すべてはまだ可能であると考えていたわけであるが、それはつまり天災は起りえないと見なすことであった。彼らは取り引きを行うことを続け、旅行の準備をしたり、意見をいただいたりしていた。ペストという、未来も、移動も、議論も封じてしまうものなど、どうして考えられたであろうか。
これはつまり人災であり、我々は取り引きや旅行を停止し、全てを封じてしまおうと考える──自分達にとって、全てはもう不可能であると考えた訳であるが、カミュも褒めて呉れるだろう……いや、謙譲な心構えも度が過ぎれば、カミュには誉めて貰えないだろう──こんな葛藤をよそに、とりあえず今日をば生きる。少なくとも死んでなるものか、ペストの時の様に。
さまざまの数字が彼の記憶の中に漂い、そして歴史に残された約三十回の大きなペストは、一億近い死亡者を出していると、彼は胸につぶやいた。しかし、一億の死亡者とは、いったいなんだろう。戦争に行って来た場合でも、一人の死者とは何であるかをすでに知っているかどうかあやしいくらいである。それに、死んだ人間というものは、その死んだところを見ないかぎり一向重みのないものであるとなれば、広く史上にばらまかれた一億の死体など、想像のなかでは一抹(いちまつ)の煙にすぎない。
-ベルナール・リウー
煙にされてたまるかよ、三十回の一億にもなるかよ。ペストだコロナだ疫病だ、一回の一人にもなりたくはねえ。折角の独りもんなんだから、一人として群れるかよ。家族だ友達だガールフレンドだ、生きてやるよ。
だって、孤独な惑星の僕です──
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