2024年5月2日木曜日

堕落・続堕落の詩(十二支詩・辰)



あゝ僕、どん/\悪くなってゆく。着るものは段々と色褪(あ)せて擦り切れ、食べるものはどん/\お粗末にその量も減らし、住む処だってボロ家みたく軋(きし)んで傾いてきた。あの人みたいに毎日、衣食住も新たに、立派な生活など出来なかった。堕(お)ちぶれた日常において、この心身もちゃんと落ちぶれた。夜は一時(いっとき)も眠られず、肌は荒れ、心も穢(あ)れ、誰にも相手されなくなった。こんな日々、いつまで続くのかな。ずっと死ぬまで陽の目を見ないで、一人ひっそり消えてゆくのかな。じり/\、じり/\、その時が刻一刻と、今やって来ている最中なのかな。全て知らなんだ!楽しかった頃に戻りたいが、既に色んな縁が切れちゃって、もう二度と無理なの!どうしようもない、どうしてこうなったんだ!僕はいつまでこれ繰り返すんだろう、全くあきれるね。あゝ成りあがれ、為(な)りあがれ──


嗚呼私、どん/\深くなってゆく。着るものは段々と相応(ふさわ)しく洗練され、食べるものはどん/\見極められその度に美味(うま)し、棲(す)む処だって隠れ家みたく妖(あや)しく輝(て)ってきた。あの人みたいに毎日、人間味も消して、不穏な生活など出来なかった。見つけられた日常において、この心身もちゃんと観(み)つけられた。昼に一瞬でも眠られて、肌は慣れ、心も馴れ、誰も相手にならなくなった。こんな日々、いつまで続けられるかな。ずっと死ぬまで奇異の目に曝(さら)されないで、一人じっくり考えていられるかな。じり/\、じり/\、その時が刻一刻と、今やって来ている最中なのかな。全て分かった!知らなかった頃に戻りたいが、既に色んな事が知れちゃって、もう二度と無理なの!どうしようもない、どうしてこうなったんだ!人間はいつまでこれ繰り返すんだろう、全くあきないね。嗚呼堕ちぶれろ、落ちぶれろ──




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