2019年4月17日水曜日

THE YELLOW MONKEYを一言で表すなら

本日、19年振りにイエモンの新譜が、願ってもなかった9枚目のアルバムが発売された。

 THE YELLOW MONKEYの魅力や唯一無二のその訳は、当ブログでも事ある毎に書いてきたが、このバンドを一言で表すなら、こうなる──

 ニルヴァーナと初期レディオヘッドがエフェクターボードに置き忘れた終末オルタナ・ディストーション──諦観の向こう側で鳴らされる蒼を“紫の炎”へと変えて仕舞う紅いエロスのギターリフレインに、ツェッペリンが如く巨大なスケールで体現される強靭でタフなロッククラシックの骨格を持つ好色一代のグルーヴ、更にデヴィッド・ボウイと美輪明宏が白粉と知性と品格と麗しきコンプレックスで御粧ししたヴィジュアルショッキングな風貌とオーラをも纏い、おまけにもう一丁、前川清の全身全霊を超えた情念と怨念の偏執狂的ビブラートが人類の琴線へ執拗に愛撫する歌心で以て、是ら膨大な情報と歴史・文化が刷り込まれた遺伝子を「グラム・歌謡・メタル・野郎」と一つの螺旋に体系化し、“カウントダウンTV”や“ヘイヘイヘイ”や“うたばん”や“ミュージック・ステーション”といった歌番組で放送コードすれすれのエクストリームな愛憎ロック音楽(非日常)を御茶の間(日常)に贈り続け、90年代日本の音楽チャートを名実共に制したミドル級・世界チャンピオン4人組(a.k.a. パンチドランカー、ハレンチな)が、“THE YELLOW MONKEY”というバンドである。 Nori MBBM拝

 我ながら一言で簡潔に纏められたな、よし。


 本来、見せ物小屋とは、こっそり営業して、こっそり観に行くものであるが、THE YELLOW MONKEYは公然猥褻罪を犯す様に、日本武道館だろうが東京ドームだろうが何とかアリーナだろうが、渋谷ラママから変わらずに“ウェルカム・トゥ・マイ・ドッグハウス”を表明し、それを奏で歌い続けた。バンドに関わる人間が何万、何十万と膨大な数になっていっても、個人間の一対一の関係のままで曲を聴かせ続けるとは、何と純粋で尊く偉大な事なのだろう。

 このバンドを超えるには、如何したら良いのであろうか?

 ゲンズブールに「グラム・歌謡・メタル・野郎な感じで」と作曲を依頼する一方で、作詞の方はバタイユ(オーシュ卿)に新たな“眼球譚”を書いて頂き、大島渚に「“愛のコリーダ”が如く剥き出しの無修正でモロに撮って」とMV監督をお願いして、とどめは“センチメンタルな”ジャケ写をアラーキーに撮って貰い、究極のロック音楽作品を一枚成就……で何とかなるだろうか?いや、そんな“ロングスカートを穿いた女の尊さを自宅の布団にうつ伏せで寝かせてやって、足の裏からお尻に背中や可愛い頸の頭に至る迄、ゆっくりと目の色を変えて一望する俺だけの為のエロス(性癖の至高)”が一般大衆に理解される訳ないし、それがチャートの一位を取んなきゃいけないなんて、ましてや恒常的にそんなクオリティを保って活動しなきゃいけないなんて、ハードルが高いぜ、高すぎるぜ。

 THE YELLOW MONKEYは何時だって教えてくれる──夢よ飛び散れ花となれ!!悲しきエイジアンボーイ!!!


 愛されないパラノイアバンド“Unfinished Ballades”のボーカル(にギター)、Nori MBBMより


~~~~~~~


本日発売のアルバム「9999」を早速ウォークマンに入れて、お出かけだ!!

 それにしても新譜「9999(フォーナイン)」である。父方の曽祖父は漢数字の“九”から始まる立派な名前を持っていて、大正生まれの祖母は「この世でいちばん大きい数字は九ぢゃ」と云っていたが、だからこの“9”という数字は手前にとっても縁起ものなのである。己が祖先も君の祖先も吉井さんの祖先も、何時か何処かで繋がって居たのが別れて終(しま)って、此処でまた出会うべくして出逢ったのだ。♪四次元だけが通り過ぎれば、果てる事など夢のまた夢……

 あゝ遂に音源で聴けるインディーズ時代からの名曲──「毛皮のコートのブルース」

 当時の吉井さんは本能的にこれが好いもの、というか己に流れる血に必要不可欠なものとして、こういったエログロ・ナンセンスな退廃美を表現していたのだろう(一例として吉井さんはデビュー当時から、お気に入り映画にホドロフスキー監督の「サンタ・サングレ」を挙げている)が、自身の価値観、及びルーツとなった様々な芸術の先人達の評価が、時の流れと共に言語化されるにつれて、更にイエモンの影響を受けたバンド“毛皮のマリーズ(志磨さん)”ら後継者達の登場もあり、現在の吉井さんは自覚的にその音を鳴らし、そしてその声で歌うべくして歌うのである。


 今現在、2019年(平成31年)の「毛皮のコートのブルース」には、かつてない程の美学や論理性が可視化されている。1989年(平成元年)に現ラインナップとなり結成されたイエローモンキーの歴史は、そのまま平成30年間の栄枯盛衰である。インディーズ時代から演奏されていながら音源化される事なく(ライヴ映像はあったけどね)、今回はじめてレコーディングされた「毛皮のコートのブルース」を聴く事は、平成の30年間で浮き彫りにされた“比類なきグラムロック哲学”を耳にする事である。何て俺得の贅沢なんだ!!心も身体も御馳走様です奥様。


今日は外出中も「9999」を聴き乍ら丸一日過ごした、十何年も待ったんだもの


~~~~~~


アマゾンでアルバムを丸ごとダウンロード(CDレコードはお金がある時に改めて……)


 今回、デジタル配信版にしか「毛皮のコートのブルース」が入ってないとの事で、起床してからすぐ朝8時にアマゾンで注文したんだけど、“購入完了”→“ダウンロードできません”となり「ぬおっ!!」と不意に声を出し、何度ダウンロードボタンを押しても“ダウンロードできません、カスタマーサービスへお問い合わせください”となったので問い合わせたところ、混雑しているのか音源の準備が出来ていないのか、まだダウンロードは難しいので数時間後に改めてダウンロードして、それでも出来ないならまた問い合わせて下さい、と……ヒエー(でも丁寧に対応して下さりました、有難う御座居ます)

 凄い良い曲ができて皆に聴かせようとした時、編集を終えたばかりの渾身の動画をYouTubeにアップしようとした時、そんな時に限って事がすんなりと進まないことって多々あって(貴方もないですか?)、今回の“ダウンロードできません”も「イエモンの19年振りのアルバムだしなあ、そうすんなりと手に入る訳ないか」と一人で勝手に納得……また昼前頃にトライしてダウンロードし直したのでした(無事完了)。


 まあ、THE YELLOW MONKEYというバンドを一言で表すなら、そういうバンドだ←どういうバンドだ


-完-


0 件のコメント:

コメントを投稿