2023年2月26日日曜日

冬眠あけて(6:01-32:03)

友達が出来たなら
恋人と一緒なら
どんなに楽しい事かしらん
どんな愉しい事も知らん

子供の頃に遊んだ公園
椿の花は大きく咲いて
ごろっと丸ごと地面に落ちた
数え切れぬ程の嬉しさ
私は一人喜んだ


私に出来やしないんだ
誰とも上手くいかなんだ
現(うつつ)より夢の絶望は
絶対的に絶望的だ

母と娘(こ)の楽しそうに遊ぶ公園
縁の無い誰か遠くに座って
ごろっと丸ごと地面に堕ちた
数え切れぬ程の悲しさ
人が独り哀しんだ


犯人が現場を再訪するよに
心持ち常に訳ありの理(ことわり)
想い出の地を巡る事が出来ぬ
断りが無いと出来ぬのです

分かって別れて左様なら
働けど働けど借金は減らぬよに
生きれば生きるほど余命は短く
会えば逢うたび今日(こんにち)はないのに
分かって別れて左様なら


その理に則(のっと)るのならまた
この理に則る迄であります
私は初めて断るのであります
認めては文、認めるのです

心持ち常に訳ありの理
優しさは優れると読めるよに
過去は去る過ちなのであります
最早(もはや)後ろめたくもないのです
心持ち常に訳ありの理


子供の頃に遊んだ公園
椿の花は大きく咲いて
ごろっと丸ごと地面に落ちた
数え切れぬ程の愉しさ
君はひとり楽しんだ


ひとごとだから

神様、私の余白で居てくれて、どうも有難う。貴方は余白だ。貴方が居てくれた御蔭(おかげ)で、私は安心して生き死にを出来る。吐くは迷信、真実、実に余白。貴方が居なくなってからのこの数年、私は私の生き死にだけで大変窮屈である。余白有りから余白無し、六界在りより六界亡(な)し、思い切り書きたいが描けない。そうして以前の様に貴方を信ずる事はもう無いけれど、貴方が居てくれた事の力は心から信ずるよ、神様。

ひとごとだから



2023年1月10日火曜日

“Kid Stardust on the Black-star-twinkle”

「いいか、あんたはもう50に届いてるんだろう。おれは仕事をまわしてやるのは間違いなんじゃないかって心配してるくらいなんだ。あんたらみたいな連中にかかずらって時間をむだにしたくねえんだよ。」
 “おれはそこらのやつらとはモノがちがう。キッド・スターダストだぜ。”
-チャールズ・ブコウスキー

 冒頭の引用は決して、デヴィッド・ボウイとゲイリー・グリッターのやり取りなんかではない(しかしボウイ様に当時のグラムロックブームはこう映っていたのではないか……そして彼はグラムをやめた)。そう知る人ぞ知る、アメリカが誇“らぬ”破滅型の無頼派作家ブコウスキーの短篇「精肉工場のキッド・スターダスト(Kid Stardust on the Porterhouse)」からの引用である。後段の“”で括った主人公(ブコウスキー自身)のセリフ、きっとゲイリー・グリッターに当時のグラムロックブームはこう映っていたのではないか……そして彼はグラムをやった。やり続けた。



 手前で“グラム歌謡メタル野郎”と名乗っておきながら、王道ど真ん中のグラムロックを演るのは結構久し振りだ。気を抜くと素の自分に戻ってしまって、ついついシューゲイザーやらオルタナティヴやらに浮気してしまうから。然(さ)れどこうして色々と寄り道するはグラムへと帰る為、還る為であって己がグラムはより強靭と相成る。俺の取り柄はそれだけ。



 本日はデヴィッド・ボウイが黒い星になった日、そんな日にゲイリー・グリッターの“ロックンロール”を貴方様に捧ぐ、なんて神をも恐れぬ罰当たりな行為!?「勘違いしないで欲しいが、グラムロックを演った事など唯(ただ)の一度だって無いよ」と神様仏様ボウイ様に突っ撥(ぱ)ねられそうだ。だってボウイ様がジギー・スターダストを、グラムロックをやめたのは、何を隠そうゲイリー・グリッターやスウィートみたいな(中身の無い)連中と一緒にされたくなかったからであろう。でも(大有り)なんだよ、ゲイリー・グリッターにもスウィートにもスレイドにも、マッドにもハローにもケニーにも、パイロットにもスリックにもベイ・シティ・ローラーズにも……ロックンロールの一番美味しい処、アップルパイの中身ばっかりで、アップルのジャムのフィリングばかりでバランス悪いから、馬鹿に頭悪いから僕ら忘れてはならぬ芸術を、アップルパイのパイを忘れちゃったのさ。そういえば以前、「禁断のアップルパイの中身だけ」という明治製菓のスウィーツがあって超絶大好きだったのに、世間ぢゃ“マズい”と非難の嵐でスーパーやコンビニから瞬く間に消えちまった……ありゃ至極グラムロックだったな☆☆☆☆。たといボウイ様がご立腹でもボランちゃんは分かってくれるよね?彼に上手く伝えておいてくれるよね(ジョニィへの伝言ぢゃあるまいに)?グラムロックの名の下(もと)において全て許してやって欲しいよ、このギンギラギンな冒涜行為の数々を★★★★。



 それと彼はもう一つ冒涜的な行為を犯してしまった──歴(れっき)としたブレイキン・ザ・ロウ。“ゲイリー・グリッター”でググれば、ウィキペディアの略歴でも海外のニュースサイトでも画像検索でも、否応無しにそれは目に入ってくる。正直それが無かったら、もっと早く、真っ先に、この王道ど真ん中のグラムロッカーのお気にのナンバーをカバーMVしていたはずだ。ぢゃあ今回カバーMVしたって事はつまり、彼を容認・擁護できるようになったからか?と問われたら何の弁論・弁護もできないが、そんなもの突き詰めれば人間誰しもが罰当たりで、今に何も聴けなくなるだろう。ましてや散々聴きまくってきた俺だ、ここに彼のロックンロールその“パート4”と銘打ってからに──“パート3”は秋間さんのラーマアメーバによるカバーね──ようやっと日本語でカバーさせて頂いた次第。


「Rock and Roll part 4」
作詞・作曲:ゲイリー・グリッター&マイク・リーンダー

Hey!! Hey!!

Yeah!! Yeah!! Yeah!!

Can you still recall in the Jukebox Hall
When the music played

And the World span round to a brand new sound
In those far off days

In their blue suede shoes
They would scream and shout
As they sang the blues
Let it all hang out

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and roll, rock
Rock and roll
Rock and roll, rock
Rock and roll

Little Queenie bopped at the high school hop
Dancing to the beat

With her U.S. Male and her pony tail
Well, she looked so sweet

Times are changing fast, but we won't forget
Though the age is passed they'll be rockin yet

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and roll, rock
Rock and roll
Rock and roll, rock
Rock and roll

Rock and ro-oll, rock and roll
Rock and ro-oll, rock and roll

Times are changing fast, but we won't forget
Though the age is passed they'll be rockin yet

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and roll!!!!


日本語詞:Nori MBBM

Hey!! Hey!!

Yeah!! Yeah!! Yeah!!

喫茶店に行こう
あのジュークボックスを
ひたすらかけて

あんなんあったな
えゝ音やんな
今は昔

知るかブルー・スウェード・シューズ
履いてスクリーム・アンド・シャウト
ブチかませブルーズ
誰も構わねえ

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and roll, rock
Rock and roll
Rock and roll, rock
Rock and roll

あのマブい娘
多分、地元(ウチ)の子
胸は高鳴り

でも彼氏と消えるポニーテール
見ちゃいられねえ

時代は変わる
オレ変わらず
恋は終わる
コレ終わらねえ

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and roll, rock
Rock and roll
Rock and roll, rock
Rock and roll

Rock and ro-oll, rock and roll
Rock and ro-oll, rock and roll

時代は変わる
オレ変わらず
恋は終わる
コレ終わらねえ

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and roll!!!!



 まあ人によってはもう無理な人になってしまったゲイリー・グリッターであるが、斯(か)く言う俺だってコーネリアスとフリッパーズをまっさらな気持ちで聴けた試しがない。東京五輪・開会式にまつわる一連の騒動の前からあのインタビュー自体は知っていたので、彼の音楽を聴けば必ず脳裏に過(よぎ)るものがあった。しかし俺だって俺の最低を最低なまま生きて居る、恥じ入り後悔しながら生きて居る。


 音楽的な事を全然話せていないが、俺の大好きなグラムロック、それもグラムの中のグラム、王道ど真ん中のグラムロックであれば奇を衒(てら)う様な事はしないで、いやグラムなんだから堂々と奇を衒って、いつもの俺、つまり世間では異常な人間、を今回も演るだけ演っただけ。愛用のコルグ製リズムマシーンにプリセットされたグリッタービートにのせて──小節数やフィルのタイミングは手前の気分次第で、ヘビィメタルギタア、鼻にかかる声で“嗚呼”、ビブラートさせながら歌謡、えゝ左様。これが俺らの“ロックンロール”(しかし一番の推し曲はお馬鹿すぎる“リーダー・オブ・ザ・ギャング”、ないし狂ったシンセのディスコティック“ユー・ビロング・トゥ・ミー”)。そして、最後に……


★グラムロック三カ条★

一、異性は勿論、同性からモテないこと
二、親友は無論、同士すら持てないこと
三、これら以外、以上を必ず持てること

グラムロック三カ条、或いはサディスティックミカ嬢に似た

Nori MBBM



 ゲイリー・グリッターやらブライアン・フェリーやらイメージしてギンギラ銀なシルバースーツでキメてみたが、これはあれだ、死ぬほど観ては聴いたりした2002年の「布袋寅泰 ライブ in 武道館」である(んでもって8th「スコルピオ・ライジング」のジャケ写の布袋さんは、ボランちゃんと同じポーズで、同じ鋤田さんにパシャリ撮られてるんである)。


 さてと次回のカバーMVは、俺も俺なりにブレイキン・ザ・ロウ、メタル野郎そう決めた!!


2023年1月1日日曜日

令和五年“松柏後凋”

明けましておめでとうございます
──the pine and the cypress are the last to wither



 松柏後凋(Song Bo Hou Diao)



 ここに人間の完成をする為
 それ以前に絶えず朽果てず

 朽ちても果てても朽果てぬ
 知るかよ知るよ知れ知れた



 2023、Are you burning?


2022年12月31日土曜日

令和四年“豁然開朗”完了

これもいっておかねばならぬが、ペストはすべての者から、恋愛と、さらに友情の能力さえも奪ってしまった。なぜなら、愛は幾らかの未来を要求するものであり、しかもわれわれにとってはもはや刻々の瞬間しか存在しなかったからである。
-ベルナール・リウー

 こりゃ今しか出来ぬ楽しみである、とリモート会議にリモート呑み、首の皮一枚で何とか繋がっている友情、愛情、また必ず会おうね、とコロナの初めが懐かしい。

 もしこれが永遠に終わらぬとしたら、生活様式が戻らぬとしたら、リモートで繋いでも繋いでも、繋いだままで居られぬ友情、愛情の切り離された不可逆だけを確かめる事となる。もう一人は必要無いし、もう独りで充分なのだから……

 これで生きる術を覚えたな──音楽、文学、食費、生活費、タヒ。

 今宵年を越す為に、今晩目掛けて人を超す。自意識がそう願うでなし、無意識に勝手そうなるさ。底知れぬパワーに、根拠の無い自信。月日と時間のシステムに、現世が人生の加速する。真似できない死に、マネーの無い自身。貴方知らない生活に、人間頼りない乾杯。貴方にあらゆる外界(がいかい)詰め込んで、人間になるだけ自分当て嵌(は)めて。



 今年も益々有難う、令和四年“豁然開朗”完了。


2022年12月11日日曜日

無常の日が11月30日の解答す –我、令和オルタナティヴⅡ–




 或いは、エヴァンゲリオンが描く他の季節を失くしたよな夏の閉塞感。ナンバーガールが描く冷凍都市の少女らと軋轢(あつれき)った夏の焦燥感。あれは、さうdeathね、僕の真っ黒な思春期でした。

 通学路のブロック塀と傾いた電柱とくすんだ青に浮いた雲、動かぬ曇、何処(どこ)迄も奥行きの無い風景でした。何で知っているの、僕の想い出。その情景、そっと切り取って置いておいてくれたの。悲しくなるね、センチメンタル過剰。処理速度が追い付かなくて、絶叫してしまうね。



 エイトビーター、イッツソージャパニーズスタイル-其の壱
 春が来る迄、眠り続ける恋心。忘れた振りして、絶叫してしまうね

 エイトビーター、イッツソージャパニーズスタイル-其の弐
 家猫娘(いえねこむすめ)は僕の流したレコード、ケチつけて眠る。イギーポップもほら、絶叫してしまうね

 エイトビーター、イッツソージャパニーズスタイル-其の参
 透明少女は血を流したスケルトン、問答無用で消える。エレクトリック握りしめ、絶叫してしまうね

 エイトビーター、イッツソージャパニーズスタイル-其の肆
 透明は4んで見えない(透明に見える)

 エイトビーター、イッツソージャパニーズスタイル-其の伍
 見えないのに5認される(透明が見える)

 エイトビーター、イッツソージャパニーズスタイル-其の陸
 色が6に見えない(透明少女に見える)

 エイトビーター、イッツソージャパニーズスタイル-其の漆
 しち、七条(しちぢやう)、虹、非日常

 よみ、がえる、性的、衝動
 繰り、かえされる、諸行、無常

 エイトビーター、イッツソー
 ジャパニーズスタイル!!
 -其の捌

 いつか、六界も、七の、何かに
 今日の、日めくり、こう、呟いた

【MBBMの日めくりバーニン六界】EIGHT BEATER生まれし焦燥都市24時、眠らぬ街で、血走った眼で、酩酊、ないし寝不足で、常識はずれる、如何にも書ける、異化にも駆ける、イマ十二月の1+2=Ⅲ、以下にも掛ける、エヴァ三男坊主が8ビートで24、ナンバガ二掛ける四ならThis is EIGHT BEATER。ドグマッ



・ドラムス、アヒトサシユビザワ(a 人差し指澤)

・ボーカルやギターは原曲よりハッキリと聴き取れる様に録音、ミックスした

・最初にカバーMVしよう思って宅録したのは“YOUNG GIRL SEVENTEEN SEXUALLY KNOWING”

・だってナンバガで一番イカした曲だから(田渕ひさ子さんもコレが一番好きらしい)

・でも今回“EIGHT BEATER”をカバーしたのは、この曲がオレだと気付いたから(冒頭に“南無、重金属宣言”あり)

・ナンバガで一番エモいと思う詩は“IGGY POP FAN CLUB”(ほぼ俺の実体験)

・ナンバガで一番好きなアルバムは「SAPPUKEI」か「NUM-HEAVYMETALLIC」か未だ決めかねている

・オリジナルアルバム4枚だけ所持のフアンなので(シングルとかベスト盤は持ってない)、“鉄風~”とか“I don't know”にそんな思い入れが無い

・だから今宵の解散ライヴで忘れ得ぬ曲として手前に刻まれる予定

・中憲のケンとNori MBBMのノリは同じ漢字

・向井秀徳のトクも本名はノリと読む感じ

・ブラックフランシスと向井秀徳は親戚のおぢさん(これマヂ)



 今から解散ライヴ行ってくる(感想はツイッターの方で呟く)。


2022年11月30日水曜日

平成総体(上)

ツァリンツァリン

 夜空にちょうど穴を開けた様な月が、或いは闇夜に鏡を嵌(は)め込んだ様に、甚だ不自然の体(てい)であった。何も写さない鏡みたいで、即ち全て取り込んでしまったみたいで。

 天上め、人間め、修羅めが!!

一日目の午後

 三日連続で人身事故に出会(でくわ)した。通勤で乗り換えの秋葉原駅に着く度、本日は電車が遅れまして云々(うんぬん)。本日“も”であるが、それは駅員が誰よりも感じている事なので、一々口には出さない。こうも人身事故が連日続くと何だか国全体、そればかりか地球全体まで疑ってしまう。

 “まさか地球が自転しないまま公転して、このまま二度と夜が明けないかもな、フィクションでは有り得る事だよ。だって作者とか読者が神様なんだから、ここぢゃあ人に神の権限が与えられているんだから、不安で不安で仕様が無(ね)えや……”

 新高はスマートフォンをスーツのポケットから徐(おもむろ)に取り出し、読んでいる途中であった電子書籍のページを開いた。


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【地獄篇】巻頭付録
「時代二種類どちら様」

 以下に四つの時代区分を明示しておきます。これは拙著“六界記紀”その【地獄篇】である「役者二種類どちら様」を読む上で、作中に列挙した役者類型の四つのパターンと併せて認識して貰う事で、作品の理解の一助となる有益なものですので、別冊という形になりますが、巻頭付録とさせて頂きました。

 区分①:浮かれた時代、まさしく戦後、昭和、馬鹿で何にも考えず、何にでも口を出す、可能性だけの、馬鹿に楽しい時、どう楽しんで生きるか、それが彼等最大のテーマ。

 区分②:白けた時代、まさしく戦前、平成、馬鹿は何か考えろ、何か考えてから口にしろ、可能性の、馬鹿が待ったをかけられた時、どうやって生きるか、これが僕等最大のテーマ。

 区分③:挫かれた時代、まるで戦中、令和、馬鹿に考え抜いて、選(よ)りすぐり選(え)りすぐり実行する、実現可能性の、馬鹿が行動に移す時、どうやって死ぬか、あれが君等最大のテーマ。

 区分④:終わらされた時代、まるで終戦、平和、馬鹿は覚悟を決めて、唯一残された義務を遂に完了する、実現可能性だけの、馬鹿を卒業する時、どう苦しんで死ぬか、どれが我等最大のテーマ?

 Nori MBBM


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 毎年、国全体の自殺者数の発表に際し、「近年は増加傾向にあるので、早急に対策を取らなければならない」という旨の一文が申し訳程度に添えられているが、あれは一体何の積もりか。区役所からの様々な督促状を受け取る度に、こりゃあまた自殺者数増えるわ増えるわ、と思わず笑ってしまうからさ。逆に何で国は減ると思っているんだ──所得税、住民税、消費税、酒税、航空機燃料税、石油石炭税、自動車重量税、関税、自動車税(環境性能割・種別割)、軽自動車税(環境性能割・種別割)、狩猟税、鉱産税、入湯税、相続税・贈与税、登録免許税、印紙税、不動産取得税、固定資産税、特別土地保有税、都市計画税──逆に何で国は減らしてくれないんだ?この際、“人身事故税”も追加したら良いんぢゃないか?貧乏人からだって“督促状印紙税”とか“督促状取得税”とか“督促状保有税”とかさ!もうかるぜ、おかみさんよ!

 ふと、今年一番死にかけた瞬間を思い出してみる。これを毎年並べたら、どんどん更新されそうで、手前の死まで確定しそうで、せめて、今年一番嬉しかった瞬間を思い出した方が、などと柄にも無く思ってしまった。何だまだ生きたかったのかよ。如何(どう)したって人間あっという間に死ぬんだぞ。人生すぐだ……それが如何して中々終わらない。

 秋葉原駅で来ない電車を待ちながら、はたまた人身事故のアナウンスを聞きながら、以上の如き思案、妄想を巡らし、新高は職場に体調不良の旨を伝え、今夜の勤務はおろか、もう二度と出社する事も無かった。そうして改札を出て、何となし神田方面へ歩いて行き、道すがら目に留まったレンタカー屋へと入ってしまったのであった。

二日目の午前

 幸運にも難を逃れた様だった。間一髪の処で、運転するレンタカーをぶつけずに済んだのだ。それは新高が慣れぬ道を走っている時だった。

 「あゝ助かった……助かったけど」
 「助かったけど?」
 「こんな処で信仰貯金を使いたくなかった」
 「信仰貯金?銀行貯金みたいに!」
 「こんな詰まらん事で、積み上げてきた信頼をだな」
 「新高君、“信頼”ならまだしも“信仰”は結局、金なのかね?」
 「金なのかね?って不信心者を見る様な目で誘導尋問やめてください」
 「しかしね、君には不誠実なものを感じますよ」
 「貴方の信仰は、人を評価できるほど高尚なもんですか?」
 「そんな事はないですが、少なくとも金に基づいたものでは無い」
 「はあ、お布施も、お賽銭も、正月の初詣も、私には大切な信仰の一つなのですが」
 「それは否定しませんよ、ただ“信仰貯金”という言葉が、引っ掛かっただけで御座居ます」
 「数値化、可視化するのが、厭(いや)らしいというんでしょう?」
 「えゝ信仰は、試練であったとしても、試験ではないですから」
 「その物云い嫌です、というより貴方が厭らしいと見なした私の見解に、案外近いですよ」
 「それはそうです、新高君に寄り添って考えてみたのですから」
 「処で貴方、さっきから当然の如く話し掛けてくる貴様、一体誰です?これ私の車ですよ、借り物ですがね、一体いつ乗り込んで来たんですか」
 「いつとは言わん迄も、何時(いつ)も君が両手を合わせるその、向かう側に居るものですよ……いや実を言うと神田辺りですよ」
 「信仰貯金、私は本当に使い切ったんだな……人間に見える形で現れるだなんて、もはや神様、いや貴様、目に見えて表せるなんて……今まで一体何を信じて来たんだろう、何でお願いしていたのだろう、馬鹿だ、間抜けだ、不仕合わせだ、全部自分に使えば良かったんだ……そしたらこんな車も運転しないで誰かに運転して貰えたし、さっき“信頼ならまだしも”とか云っていたけど、信頼も試練もまやかしだ、嘘が通じるのはそれが他人だからだ、神様、貴方が他人だからだ、人だからだ、嘘が通じないのはこれが自分だからだ、嘘を付けない対象は自分だけなんだ、自分だけで充分だったんだ、それなのに、それなのに!コミュニケーションの聖域に踏み込んで来るんぢゃない!お金を払えば特別な事を教えてあげますよ、いやいやウチはソコんとこ無償でやりますよ、なんてニュース速報はゴミ、全ネットニュースはゴミクズ、その上に成り立つ議論もまとめてゴミクズ箱、手前以外の神様気取りも含めて全て可燃ゴミクズ箱!会社も社会も全部いらねんだ……もっとコミュニケーションは……とても尊いんだ」
 「……とても地獄(ぢごく)は一定(いちぢやう)すみかぞかし!弥陀の本願(ほんぐわん)まことにおはしまさば、釈尊(しやくそん)の説教、虚言(きよごん)なるべからず!仏説(ぶつせつ)まことにおはしまさば、善導(ぜんどう)の御釈(おんしやく)、虚言したまふべからず!善導の御釈まことならば、法然(ほふねん)のおほせそらごとならんや!法然のおほせまことならば、親鸞がまうすむね、またもてむなしかるべからずさふらふ歟(か)!」
 「何を急にブツブツと……地獄は我が住家であると定まって居ます!阿弥陀如来の本願が真実であるならば、釈尊(しゃくそん)の説かれた教えも虚言であるはずがありません!仏説が真実ならば、善導(ぜんどう)の御解釈も虚言を云っているはずはないでしょう!善導の御解釈が真実ならば、法然の仰(おっしゃ)った御言葉も虚言で有り得ましょうか!法然の仰った言葉が真実ならば、この親鸞が申し上げる事どもも、また偽(いつわ)りである事もありますまい!ってか?貴様、手前(てめえ)の家が浄土真宗と知ってか!」
 「詮(せん)ずるところ愚身(ぐしん)の信心(しんじん)にをきては、かくのごとし!このうへは、念仏をとりて信じたてまつらんとも、またすてんとも、面々(めんめん)の御(おん)はからひなりと!云々……」
 「結局の処、愚かなこの身の信心ではこの様になります!この上(うえ)は、念仏を選んでお信じになられるのも、また捨てられるのも、皆様方のお計らい次第です!と云々……ってか?何だよ“と云々”って人と会話中に、ツァラトゥストラは“こう語った”みたいに一々テンプレで切り上げやがって!いや唯円(ゆいえん)の方が五、六世紀くらい先か……とにかく、『歎異抄(たんにしょう)』も『ツァラトゥストラ』も平成の内にもう読んだよ、それで神も何も人間不信となってこの様だ!知恵を持ってしまったら、信心は手放さないといけない決まりなの?計らいで以(もっ)てして、神が人を信じられなくなるとでも云うの?神様ともあろうものが、人間如きの道理で拗(す)ねちゃうの?令和の頭からずっとこうだ畜生め、餓鬼め、地獄めが!!」
 「……とても地獄は一定すみかぞかし!弥陀の本願まことにお

 新高の云う信仰の貯金は底を尽きた、まさか銀行貯金よりも早く。何時の間にやら神は、金と姿を眩(くら)ました。それから新高が話し掛けられる事も無くなった、何時かまた貯金の類いを始める迄は。ツァリンツァリン

二日目の午後

 三回目というのは本当の二回目でもあるんだ。二度ある事は三度あるをやるんだ。

 中肉中背の健康体で医師の所見無し。配偶者無し。生活は人並みだが、睡眠時間だけはかなり乱れている。小学生時分より読書を趣味とし、それが今に繋がる夜更かしを不眠症にまで助長したのだと思われる。兄が二人居るので、三男という事になる。故に、何時も一回目と二回目を逃し続けた男である──新高昂(にいたか のぼる)、33歳。

 つまり、一回目というのは全てを貫く事だ。ならば、二回目というのは全ての裏を行く事だ。そして、三回目というのは全ての裏が表に成るという事だ。敢えての一回目を三回目にやるんだ。全て二回目の一回目だ──新高昂、33歳。

 「ずばり、私はその様に、愛されたかったのですね。三男なんですけど、初めての子供の様に、です。だから、長男とも次男とも違う、差別化ですよね。それが本当に、差別的になっちゃった、大体みなから避けられるんですよ。サクリファイス!生け贄と成った!そんな処でしょう!詳しくは、旧約聖書の“創世記”その第二十二章を参照されたし、です。何を隠そうこの“平成総体(へいせいそうたい)”という話は、私の七日間、たった一週間の出来事なのです。神の七日間、たった六回の眠りがもたらした天地創造なのです、つまり六界を経ての話であります。」

 三度目の正直をやるんだ。自己主張などするものか。異論反論するものか。エロとグロに次ぐ、この荒唐無稽がナンセンス──新高昂、33歳。

 プラス、マイナス、ゼロ、その平成。更にその、総体。しかし、ナンセンスに幾ら高尚なセンスを掛けた処で、ナンが難儀でナンセンス、x掛ける処の0は悉(ことごと)く無。この平成。更にこの、総体。しかし、ナンセンスに幾ら高尚な、何のセンスを掛けた処で、うわあゝ

三日目の午前

 篠歩に感じた最大の違和、あれ一体何だったんだろう?篠歩(しのぶ)いうのは先日、別れたばかりの女だけど。最後の最後まで相容(あいい)れなかったあの感じ、今もよく分からない。

 例えば、私が通っていた──最低な思い出ばかりの──中学校の教室で、今の職場の上司が何故か、その彼がやった事もない数学の、難解な講義を私に向かって教えている、そんな夢を見た。何だ夢語りか、と辟易(へきえき)しないでおくれ。

 職場の上司には以前から言語化できない違和が、その容姿や口調、凡(あら)ゆる言動の端々(はしばし)から感ぜられて、如何も苦手だったのだ。夢は記憶の各フォルダの鍵、引き出しの取っ手みたいなもので、私はそれを引きずり出してしまったという訳だ。要するに、職場の上司への違和が、いま解明されたらしい。

 中学の教室で・職場の上司が・数学を教える、こんなに最低が最高峰たるシチュエーションを用意してくれる夢、何時だって配慮も容赦も無い夢。まず私の嫌いだった中学の先公の一人は、英語を教える浅黒い肥満体の眼鏡であったが、その話す時の声質、間の空け方、知識のひけらかし方等が、職場の上司──肥満体ではないがそれも浅黒い中年の眼鏡──と見紛う程だったのだ。何故に今迄、この類似に気付かなかったのだろう。それは両者が遠く隔てられた処で、頻繁にシンクロこそするものの、決して似ているとは言い難かったからであろう。私が最も嫌いだったのは件(くだん)の英語の先公であったので、それでは夢で職場の上司が教えていたのが何故に数学だったのかというと、これは単に数学が一番の苦手科目だったからだ、全て引っ括(くる)めて嫌悪感の総合体を見せつけられたのだ。

 篠歩に対する違和の全ては、これだろう。そして自らだけでなし、篠歩の方が抱いていた私への違和まで、同時に分かってしまった様である。そういえば、私の描く歪(ゆが)んだ丸い文字と、篠歩の書く“でん”と屹立(きつりつ)するよな角ばった文字の、そのフォントはかなり違っていた──PCのワードにプリセットされている処の──平成明朝体に違いなかったのだ。

三日目の午後

 篠歩にとって恋愛など、流れ作業に違いなかった。いわばカルマでなしノルマ。ただ新高にはそれが解せないので、彼女だけが何時だって苦労した。幾らか自分自身の経験値になれば良かった、しかし気持ち悪くて思い出したくもない想い出ばかり。経験した事にしたくもない。

 馬鹿の一つ覚えに舌を入れてくる。前戯で延々と吸い付いてくる。しつこくて陰湿で痛い。性器をゆっくり入れて来るのが気色悪い。吐き気がする。どいつもこいつも痛い。痛い痛い痛い。

 適当に忘れられて、適度に覚えられている。そんな良い男は、一人と居やしない。一切を忘れようとしないで、合切が変な事ばかり覚えている。性別は全く、意識まで乖離(かいり)させる。異性は殆(ほとん)ど、非常識に近い。事後のあの、だらしない顔。また性懲りもなく盛(さか)る顔、どうにかならない?

 まだ私が男だったら良かった。へなへなした奴ばかり。あんな半端なミミズ文字を書く奴より、私が男に生まれるべきだった。

 何だかこの男と同じ平成元年生まれというのが、急に気持ち悪くなってきた、おえ。どちらかが昭和か、いっそのこと令和生まれで、恋愛対象にすら成らないで欲しかった。性的対象に、人間的対象にしないで!!

 むかついて睨(にら)み付ける。“可愛い”とか抜かす。気持ち悪い。“怒らないで”とか抜かす。鬱陶(うっとう)しい。私だったらもっとマシな事を云う。何時も先にすっきりしやがって。私だったらもっとマシなタイミングで出す。何時も先に寝やがって。

 以上の訴え虚(むな)しく、新高は翌日の昼まで目を覚ます事がなかった。篠歩は無言で彼の部屋を去った、今度ばかりは二度と帰らないと決めて。事実、二人が逢う事はもう二度と無かった。

 “絶対にそうだと分かって居ても、分かって貰うには絶対なんてものが無いから困るの。絶対以外を全てやってやらないと、一部を残して全部やるのよ!それできっと絶対という事が分かるでしょ、神様は素晴らしいんでしょ?それより素晴らしいものがあっては困るの、貴方より良い人が居ては。私を良い人にされても、困るのよ。”

四日目の午前

 篠歩はどこ行ったのか、このまま二度と逢えない事は無いにしても。にしても後何回、こんな事できるだろう。死ぬ迄に後何回、女とやれるだろう。昨日は良かった、燃えた、今朝だって、燃える、ゴミの日か。生きている内、後何回、ゴミ出しせねばならぬか。後何回、洗濯せねばならぬか。後何回、家賃払わねばならぬか。アパートの馬鹿野郎、マンションの馬鹿野郎。

 ここ十年以上住んでいるアパートの隣に、大きな駐車場付きのマンションが出来た。部屋の窓の真ん前に聳(そび)え立つそれは、このアパートの2.5倍程の高さがあって、恐らく7階位あるのではないか、周囲の景観からは明らかに浮いている。高円寺という土地に、高層階は似合わない。思えば建設中から嫌な予感がしていた、巨大で目障り、ガンガン打ち付ける音の耳障り、一年近く続いた心障り、大家は何も知らなかったのか?であるから管理会社は、一刻も早くここの家賃を下げて欲しい。

 はす向かいの家も大変だ、例のマンションのせいで私と同じ目に遭っているに違いない。いや、それ以上だろう。そこは築三十年程の一軒家で、父、娘二人、息子と住んでいる様だったが、母親らしき人は一度も見た事が無い。お父さんと小学校中学年位の息子は毎週末、家の前の路地でキャッチボールをしている。二人は仲が良い様で、私は彼等の喧騒(けんそう)を気にも留めない。目障りでも耳障りでも心障りでもない。もっと派手に遊んでくれたら良い、とさえ思う。それから二人居る娘の上の方が、かなりグレているみたい。高校生くらいの娘だろうか、家の扉を壊さんばかりの勢いで開閉し、鬼の形相で駆けてゆくのを何度か見掛けた事がある。家の中だけでなし、家の玄関の前でも、淡々とした口調で話す父親に対して、近所に響き渡る程の大声で激昂しているのを幾度となく目や耳にした。もっと穏やかに話してくれたら良いのに。配偶者を持たぬ男やもめの私が、よその家族の事をここまで知ってしまった。そない知らせてくれるな、そない知りたくなかった。であるから区自治体は、一刻も早くここの家賃を下げて欲しい。

 処で今年の二月に始まったロシアによるウクライナ侵攻を理由に、原油価格が高騰していると言われて久しいが、この原油高騰というヤツが、凡ゆる物価高の原因とされている(円安等の影響もあるので、正確には物価高の言い訳にされている)。大手食品メーカーは主力商品を値上げするか量を減らすかして、地域のスーパーや飲食店も同様の動きを見せて対応している。食べ物だけでなし着る物にしてもそうだ、きっと着る物だけでなし住まいもそうであるはずだ。であるから国は、一刻も早くここの家賃を下げて欲しい。

 或いはみんな金持ちに成ってしまえ、大それた苦悩の大半は消失するんぢゃないか、と貧乏人は考える。処がどっこい金持ちは金持ち以外に成らないで、貧乏には成れないで、苦難は続く。何十億の幸せと仕合わせ、何十億もの人と金、貧乏人よりケチケチ大事そうに手離さないから金持ちは誰より金持ちだ。であるから地球は、一刻も早くここの家賃を下げて欲しい。

 家賃を受け取っているのは一体誰なんだ?目に見えない何者か?最終的に誰の手元に集まるのだ?カルト教団の教祖の懐か?それとも金銭みんな通り過ぎてゆくだけか?だから銀行貯金か?貯まっていたのは堪(たま)らない気持ちだけか?だから信仰の貯金か?であるから神様は、一刻も早くここの家賃を下げて欲しい。

 私の家賃を下げて欲しい。命の家賃を下げて欲しい。人間の家賃を下げて欲しい。ツァリンツァリン