「Nitro Drivers Go!!」の“Nitro:ニトロ”とは、かつて一世を風靡したアメリカのスポコン──“スポーツ根性”でなし“スポーツコンパクトカー”──映画「ワイルドスピード」などで、小さな日本車に乗るアメリカ人がここぞという時に、ハンドルに付いたボタンをスイッチオンしてカッ飛んでいくあの加速装置・NOSをはじめとする“ナイトロシステム(亜酸化窒素噴射方式)”の事を指している。日本車の特性・キャラクターや歴史などは一切考えず、何でもかんでも“とりあえずニトロ積んどきゃ良いだろ”→“ニトロブシューっ!!”→“鬼はえー”っていうあの粗暴で雑な世界観は嫌いではない。
要するにそのニトロ装置の如く、「俺たちの青春もカッ飛んで行こうぜ!」っていうのが、あの曲なんである──。
我が青春の愛読書「新型インプレッサSTiのすべて」を久し振りに読む
レコーディングした「Nitro Drivers Go!!」の冒頭に「ドゥルルルル……」というエンジン音が入っているのだが、あれは己が口で再現したボクサー(水平対向)エンジンのサウンドである。細かく言うとインプレッサの“EJ20”というエンジン、それもGDのA・B型(丸目インプ)までの“不等長(または非等長)エキマニ”のサウンドである。
※この度、ネットで改めて調べてみたら、不等長エキマニに対する批判的な意見の多いこと(「排気干渉の不愉快な音だ」とか)……俺は痛いスバリストなのかしらん
実社会で本当に何の役にも立たないが、誰にも負けないと自負する己が“エンジン音の声帯模写”──「友達いなかったんだな」と言われそうな幼少期からの特技である。
セリカとかMR2が載っけていた3S-GTの“ファーァーン”っていう籠ったよなエキゾーストノートとか、ランエボの4G63の始動音の“チュン、ドゥルルル……”とか、フルチューンした13Bのロータリーサウンドとか、シビックやインテグラの“ジュビビビッ”っていう高回転のイカれたサウンドとか、アメ車のダイナミックなV8サウンドとか、ポルシェ911のボクサー6サウンドとか……そんな“エンジン音の声帯模写”ばかりやっていた子供であった。“ファーン”とか“ジュビビ”とか一体何言ってんだって感じだが、その特技を今回やっとバンドの新曲の導入部分というかたちで、公に初披露できたので御座います──。
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車に興味のない人も、もう少しお付き合いを。そもそもインプレッサを好きになった訳は、その“全能感”にあるのだ。いや、兄がランエボ好きだったので、「ランエボとられたから俺こっち」っていうだけだったのかもしれないが、やっぱりあのメタリックブルー(ソニックブルー)にゴールドのホイルというヴィジュアル、大型でも小型でもなくミドルクラスで、WRC上がりだから峠や悪路などの公道はもちろん、サーキットでも鬼速い──特に筑波のイメージ──という“オールラウンダー”な感じ、あれが手前の心を奪ったのだ。
そしてそれ以来、スバル好き過ぎてSTiの桂田勝社長(当時)にサインを貰ったり、見かねた中学の時の友達から「親戚の走り屋の兄ちゃんが昔乗ってた(初代)レガシィの鍵、のりくんにあげるよ。もう廃車にしたんだけど、鍵だけとってあったんだ」って実車のレガシィの鍵をもらったり(もの凄く嬉しくて今でも大切に保管しています、上田くん)、何となく家にあった国語辞典で“すばる”と調べたら、5月生まれの私と同じ牡牛座の星ということが判明して「スバルを好きになったのは必然だったのか」って感動したり──
直感か本能か何事にも一目惚れで、それに対して誰よりも一途であると自負している。インプレッサが好きなのも、BOOWYが好きなのも一生変わらない。
その様にして何か、何事でも好きになるポイントは先に述べた“全能感”、“オールラウンダー感”であるということを今回、インプレッサとの出逢いを振り返る中で発見したのだ。
例えばカッコ良いのは分かるのだが、GT-RとかRX-7は一目瞭然で俺ぢゃない。クラスを束ねる漢らしい番長とか、女子にモテる男子ではないのだ。俺が車に生を受けたら、“インプレッサ”なのである。
現行の米軍戦闘機でいうならF-14(トムキャット)とかF-15(イーグル)ではない。俺は“F/A-18(ホーネット)”だ。F-4(ファントム)は憧れの兄貴って感じ。
音楽でイエモンがしっくりくるのも吉井さんの“全能感”、“オールラウンダー感”ゆえなのだ。イエモンとはグラムであり、歌謡曲・演歌でもあり、時にハードロック・ヘビィメタル、おフランスなシャンソンの顔も見せるし、名曲“球根”などはニルヴァーナへの日本からの回答の様な和製最強のオルタナロックでもあった。
服でナポレオンジャケットへ異常に執着したり(俺のまた別の顔は“ナポレオンジャケット・コレクター”、何時かそのコレクションも御覧に入れよう)、ギターで花形のストラトやレスポールではなくSGタイプが好きなのも、私独自の価値基準によってジャッジメントされてそれを選んだのだ。
ギターのSGに関しては、サバスのトニー・アイオミと人間椅子のワジー、あとジミー・ペイジ(こちらはダブルネックだが)、ゆらゆら帝国(坂本さん)に、スライダーズ(蘭丸さん)に、ギターウルフ(セイジさん)に、DOES(ワタルさん)……もうメタルもパンクもガレージサイケもブルースもOKな、正に“オールラウンダー”なギター!
車なら「何に乗りたいか?」でなし「私自身が車に生を受けたら何に該当するか」が基準であり、飛行機も「何に乗りたいか?」、音楽なら「何を聴きたいか?」、服なら「何を着たいか?」、ギターなら「何を弾きたいか?」ではなく、俺が飛行機なら、音楽なら、服なら、ギターなら、「どんな形で生まれて来たのか」という事である──。
話が収束に向かう気がしないが、小さい頃の飛行機や車から始まり、音楽、映画、文学、ファッション等々、「何でこれを好きになったのだろう」という事を考えていたら、自分独り腑に落ちてしまった。
是らを繋いでいたのは“スバル”、即ち“六つの星々の結束とロマンチシズム”、そのバランス感覚及び美的感覚。
──我が名は“スバリストNori”。
“全能感”、“オールラウンダー感”……俺の完成形、そして理想形。
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小さい頃の手前とけろっぴ──此処でも“オールラウンダー”な両生類のギャワズ(!)が、一番の友達であった。