2017年11月15日水曜日

新曲続々できる日々──ATDI、hide、くるりに感謝

実際私たちが死ぬということは、死んでいく当人よりも、むしろあとに残るひとびとにとっての問題なのである。
-トーマス・マン(Ⅰ)

 1か月振りの更新です、ただいま!バタン──玄関のドアが閉まる音

 今月11月のライヴ予定ですが、28日(火)は吉祥寺クレッシェンドにて我等がUnfinished Balladesのライヴ、29日(水)が立川コズミックホールにてNori MBBMのソロ弾き語りライヴ(初!!)となっております。


バンドのツイッターの告知ツイートより

 28日のバンドのライヴで燃え尽きて、次の日のソロ弾き語りライヴで声が出ないとなれば、出演者とお客様とスタッフの皆様にのど飴を配って、「これを舐めれば良かったの、私」「ごめん、探さないで」とイイ女のセリフで照明を落とし、会場が明るくなった頃には高円寺の我が家へ帰って布団に入って居りますので、ご了承ください──いえ、嘘つきましたわアタシ、両日とも真心を込めて死ぬ気で詩と曲を贈ります。


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「文学者諸君の誤りは、精神のみが人間を真面目にすると信じている点にあります。むしろその逆こそ真なので、精神のないところにこそ真面目さがあるのです」
-レオ・ナフタ


近所のレコード屋さんで買ったくるりのシングル盤たち(サンプル盤で安かった)

 最近、“くるり”ばかり聴いている(29日の弾き語りライヴでもカバーする予定)。

 ギターのしんさんとベースのあやさんが好きなバンドという事で聴き始めたのだが、こんなに素朴で飾らない、真っ当な日本語のロックを聴いてこなかったのは、自分が“洋楽かぶれ”だったから?否、語弊を恐れずに敢えて言おう──“洋楽かぶれの日本のバンド”が好きだったから。

 人によっては“くるり”もそれに当てはまるのかもしれないが、今までの私にとって重要だったのは極論、精神性のない過剰なスタイルとポーズだけで、何語か分からない奇声や罵声やシャウトにイットにアウトにラウド、エグいギターリフの格好良さとか、派手な衣装とステージアクションに外タレじみたMCとか、洋楽名盤百選の上澄みだけをペロリと一度に味わえるよな、余計な事を考えなくて良い軽薄さ、その全てだったのである──それは今も変わっていないし、いまだ正しいと信じている。


アルバムではギターロックな“NIKKI”に一目、否、一耳惚れ!くるりフアンには邪道かな?


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なぜなら物語は、時間を充たす、つまり時間を「きちんと埋め」、時間を「区切り」、その時間にはいつも「何かがあり」、「何かが起っている」ようにするという点で、音楽に似ているからである──。
-トーマス・マン(Ⅱ)

 またドラムのなおさんとの繋がりから、立川のコズミックホールに出演させて貰う事が増えて、必然的に10代の方達との共演が多くなってきた(コズミックは出演ノルマや入場料金の設定など、若い人の為に作られたハコであるが故)。

 すると新しい日本の若者像が顕現(けんげん)してきて、画期的な演奏やステージングに驚く事となるのだが、俺は俺で悶々と自閉探索(←アジカン)する日々である。

 今の10代の方達の多くが敬愛する邦ロック(ロキノン系バンド以外に、ニコ動を中心に活動するボカロPや歌い手等のアーティストも含めたもの)の実態に触れ、楽曲における彼等の価値基準、美醜・優劣の判断、一点の曇りや迷いも感じさせない身振りや手振り、高く透きとおった歌声、性急なリズム、変拍子、ディレイの掛かったアルペジオなどに、美空ひばりや松田優作が亡くなり、ベルリンの壁が崩れ、アーパーなバブル最盛期の平成元年に生まれた己が身も心も、もうすぐ30年が経とうとしているのだ、と感慨深くなる──英語の“generation”その一世代とは約30年の長さを指すというが、それにしてもジェネレーションギャップを感ずるには早過ぎる、俺が昭和・大正・明治へと逆行し過ぎてんのか、或いは時代が速過ぎんのか──。

 日本人が洋楽に憧れた季節はとうに終わっていたのであったが、その記憶もろとも本当に全て消え失せて終(しま)った事を、手前の眼で以て目撃した──嗚呼、“和製ニューヨークドールズ!”とかそういう文句にシビれた、己が時代錯誤よ。


 昭和生まれの方からすれば“平成生まれ”などその何年だろうが一緒で、何時まで経っても“古き良き”を解さぬケツの青いヒヨコか、情緒を共有できぬ宇宙人の様に思われているのかもしれぬが、詰まるところ私こそが昭和の後遺症であり、何者にも成れなかった平成のその元年であり、自意識過剰が元号の狭間で爆発寸前のNori MBBMである。

 元年生まれは思い出す──10代の初め、テレ東でやっていた“メダロット魂”のEDテーマ「年下のボク」で、毎週金曜の夕方18時30分に胸が締めつけられ、視界に収まった家の中が一面ピンク色となり、初体験や一人暮らしを前に、小学生時分の恋に命を奪われそうになるのは、この私だけで良かったと──。


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──もっとも、時間に注意しないということこそ紛れもなく最も性(たち)の悪い良心喪失にほかならないのだが。
-トーマス・マン(Ⅲ)

 以上、話の筋がぐちゃぐちゃになって仕舞ったが、日々新たな刺激を受けて、敢えて自分らしくないイカした曲を沢山書いて作っている、という事を言いたかったのだ。最近できた幾つかの新曲はアット・ザ・ドライヴイン(ATDI)、Xのhideさん、くるりに感謝……謝謝……シエシエ(アジアン感風世代)


 28日、29日のライヴ、それぞれ生まれ変わった俺を楽しみにしていて下さいね。ドグマッ