2023年1月10日火曜日

“Kid Stardust on the Black-star-twinkle”

「いいか、あんたはもう50に届いてるんだろう。おれは仕事をまわしてやるのは間違いなんじゃないかって心配してるくらいなんだ。あんたらみたいな連中にかかずらって時間をむだにしたくねえんだよ。」
 “おれはそこらのやつらとはモノがちがう。キッド・スターダストだぜ。”
-チャールズ・ブコウスキー

 冒頭の引用は決して、デヴィッド・ボウイとゲイリー・グリッターのやり取りなんかではない(しかしボウイ様に当時のグラムロックブームはこう映っていたのではないか……そして彼はグラムをやめた)。そう知る人ぞ知る、アメリカが誇“らぬ”破滅型の無頼派作家ブコウスキーの短編「精肉工場のキッド・スターダスト(Kid Stardust on the Porterhouse)」からの引用である。後段の“”で括った主人公(ブコウスキー自身)のセリフ、きっとゲイリー・グリッターに当時のグラムロックブームはこう映っていたのではないか……そして彼はグラムをやった。やり続けた。



 手前で“グラム歌謡メタル野郎”と名乗っておきながら、王道ど真ん中のグラムロックを演るのは結構久し振りだ(気を抜くと素の自分に戻ってしまって、ついついシューゲイザーやらオルタナティヴやらに浮気してしまうから)。然れどこうして色々と寄り道するはグラムへと帰る為、還る為であって己がグラムはより強靭と相成る。俺の取り柄はそれだけ。



 本日はデヴィッド・ボウイが黒い星になった日、そんな日にゲイリー・グリッターの“ロックンロール”を貴方様に捧ぐ、なんて神をも恐れぬ罰当たりな行為!?「勘違いしないで欲しいが、グラムロックを演った事など唯の一度だってないよ」と神様仏様ボウイ様に突っ撥ねられそうだ。だってボウイ様がジギー・スターダストを、グラムロックをやめたのは、何を隠そうゲイリー・グリッターやスウィートみたいな(中身のない)連中と一緒にされたくなかったからであろう。でも(大有り)なんだよ、ゲイリー・グリッターにもスウィートにもスレイドにも、マッドにもハローにもケニーにも、パイロットにもスリックにもベイ・シティ・ローラーズにも……ロックンロールのいちばん美味しいところ、アップルパイの中身ばっかりで、アップルのジャムのフィリングばかりでバランス悪いから、馬鹿に頭悪いから僕ら忘れてはならぬ芸術を、アップルパイのパイを忘れちゃったのさ(そういえば以前、「禁断のアップルパイの中身だけ」という明治製菓のスウィーツがあって超絶大好きだったのに、世間じゃ“マズい”と非難の嵐でスーパーやコンビニから瞬く間に消えちまった……ありゃ至極グラムロックだったな☆☆☆☆)。たといボウイ様がご立腹でもボランちゃんは分かってくれるよね?彼に上手く伝えておいてくれるよね(ジョニィへの伝言ぢゃあるまいに)?グラムロックの名の下に全て許して欲しいよ、このギンギラギンな冒涜行為の数々を★★★★



 それと彼はもうひとつ冒涜的な行為を犯してしまった──れっきとしたブレイキン・ザ・ロウ。“ゲイリー・グリッター”でググれば、ウィキペディアの略歴でも海外のニュースサイトでも画像検索でも、否応なしにそれは目に入ってくる。正直それがなかったら、もっと早く、真っ先に、この王道ど真ん中のグラムロッカーのお気にのナンバーをカバーMVしていたはずだ。じゃあ今回カバーMVしたって事はつまり、彼を容認・擁護できるようになったからか?と問われたら何の弁論・弁護もできないが、そんなもの突き詰めれば人間誰しもが罰当たりで、今に何も聴けなくなるだろう。ましてや散々聴きまくってきた俺だ、ここに彼のロックンロールその“パート4”と銘打ってからに(“パート3”は秋間さんのラーマアメーバによるカバーね)、ようやっと日本語でカバーさせて頂いた次第。


「Rock and Roll part 4」
作詞・作曲:ゲイリー・グリッター&マイク・リーンダー

Hey!! Hey!!

Yeah!! Yeah!! Yeah!!

Can you still recall in the Jukebox Hall
When the music played

And the World span round to a brand new sound
In those far off days

In their blue suede shoes
They would scream and shout
As they sang the blues
Let it all hang out

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and roll, rock
Rock and roll
Rock and roll, rock
Rock and roll

Little Queenie bopped at the high school hop
Dancing to the beat

With her U.S. Male and her pony tail
Well, she looked so sweet

Times are changing fast, but we won't forget
Though the age is passed they'll be rockin yet

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and roll, rock
Rock and roll
Rock and roll, rock
Rock and roll

Rock and ro-oll, rock and roll
Rock and ro-oll, rock and roll

Times are changing fast, but we won't forget
Though the age is passed they'll be rockin yet

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and roll!!!!


日本語詞:Nori MBBM

Hey!! Hey!!

Yeah!! Yeah!! Yeah!!

喫茶店に行こう
あのジュークボックスを
ひたすらかけて

あんなんあったな
えゝ音やんな
今は昔

知るかブルー・スウェード・シューズ
履いてスクリーム・アンド・シャウト
ブチかませブルーズ
誰も構わねえ

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and roll, rock
Rock and roll
Rock and roll, rock
Rock and roll

あのマブい娘
多分、地元(ウチ)の子
胸は高鳴り

でも彼氏と消えるポニーテール
見ちゃいられねえ

時代は変わる
オレ変わらず
恋は終わる
コレ終わらねえ

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and roll, rock
Rock and roll
Rock and roll, rock
Rock and roll

Rock and ro-oll, rock and roll
Rock and ro-oll, rock and roll

時代は変わる
オレ変わらず
恋は終わる
コレ終わらねえ

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and ro-o-oll, rock and roll
Rock and ro-o-oll, rock and roll

Rock and roll!!!!



 まあ人によってはもう無理な人になってしまったゲイリー・グリッターであるが、斯く言う俺だってコーネリアスとフリッパーズをまっさらな気持ちで聴けた試しがない。東京五輪・開会式にまつわる一連の騒動の前からあのインタビュー自体は知っていたので、彼の音楽を聴けば必ず脳裏に過るものがあった。しかし俺だって俺の最低を最低なまま生きている、恥じ入り後悔しながら生きている。


~~~~~~


 音楽的な事を全然話せていないが、俺の大好きなグラムロック、それもグラムの中のグラム、王道ど真ん中のグラムロックであれば奇を衒う様な事はしないで、いやグラムなんだから堂々と奇を衒って、いつもの俺、つまり世間では異常な人間、を今回も演るだけ演っただけ。愛用のコルグ製リズムマシーンにプリセットされたグリッタービートにのせて──小節数やフィルのタイミングは手前の気分次第で、ヘビィメタルギタア、鼻にかかる声で“嗚呼”、ビブラートさせながら歌謡、えゝ左様。これが俺らの“ロックンロール”(しかし一番の推し曲はお馬鹿すぎる“リーダー・オブ・ザ・ギャング”、ないし狂ったシンセのディスコティック“ユー・ビロング・トゥ・ミー”)。そして、最後に……


★グラムロック三カ条★

一、異性は勿論、同性からモテないこと
二、親友は無論、同士すら持てないこと
三、これら以外、以上を必ず持てること

グラムロック三カ条、或いはサディスティックミカ嬢に似た

Nori MBBM



 ゲイリー・グリッターやらブライアン・フェリーやらイメージしてギンギラ銀なシルバースーツでキメてみたが、これはあれだ、死ぬほど観ては聴いた2002年の「布袋寅泰 ライブ in 武道館」である(んでもって8th「スコルピオ・ライジング」のジャケ写の布袋さんは、ボランちゃんと同じポーズで、同じ鋤田さんにパシャリ撮られてるんである)。


 さてと次回のカバーMVは、俺も俺なりにブレイキン・ザ・ロウ、メタル野郎そう決めた!!


2023年1月1日日曜日

令和五年“松柏後凋”

明けましておめでとうございます
──the pine and the cypress are the last to wither



 松柏後凋(Song Bo Hou Diao)



 ここに人間の完成をする為
 それ以前に朽果てず

 朽ちても果てても朽果てぬ
 知るかよ知るよ知れ



 2023、Are you burning?