今年頭からの“ヴァセリンズ/ニルヴァーナのカバーMV→ロッソのカバーMV→バンドの初音源「30年 e.p. -XXX years-」発売→10月のレコ発ライヴ”、この一連の流れに終止符を打ちます。我、令和オルタナティヴ!!
俺の場合、ピクシーズはニルヴァーナからでなしアジカンからのナンバーガール経由で知ったものの、未だにデビュー作のEPとファーストとセカンドアルバムしか持ってなくて、歌と演奏とメンバーのヴィジュアルつまりバンドにまつわる全てがめちゃくちゃツボで好きな要素しかないんだけど(後で詳しく述べます)、全作品買わなければという位には至っておらず(しかしナンバーガール経由で知ったのにナンバーガールより好きだ、しかしながらナンバーガールは全アルバム持っている何故だ日本人だからだ)
ピクシーズメイニアではないので分からない事も多く、例えばデビュー作のEP「カモン・ピルグリム(1987)」はスパニッシュの要素が入っている印象なんだが、このラテン風味は何なんだろ、ギタボのブラック・フランシスの仕業?それともベースのキム・ディールによるもの?ギターのフレーズとか楽曲のタイトルとか詩に、それからアルバムジャケのアートワークにも、そこはかとないラテンを感じるんだけど、ピクシーズに詳しい人おしえてその訳を(♪Na~nanana na na~nanana by アジフー←椎名林檎風)
で、俺が一番よく聴いたのはやはり、ロック史に何食わぬ顔で飄々として居座り続けるド変態なファースト「サーファー・ローザ(1988)」ですが(3曲目「サムシング・アゲインスト・ユー」からの4曲目「ブロークン・フェイス」の間髪入れぬ怒涛の流れとか狂おしいし愛おしい)、セカンドの「ドリトル(1989)」に至ってはもう世間常識そっちのけで突き抜けちゃって音もクリアで普通に聴きやすいし(ド変態も堂々と演っちまえば公然と狂って楽しいし正しい)、謂わば“変態ポップやりたい放題”って感じで30年経った今でもギンギンの現役、てか今のオルタナロックの中にブラック・フランシスの血が流れていないものはないのか、それがこの原液、我平成元年ドリトル同期、ニルヴァーナとかレディオヘッドとかナンバーガールを介した体液、知らぬ間のレイプに辟易(ちなみに「サーファー・ローザ」のプロデューサーは元“レイプマン”のアルビニ、その5年後にニルヴァーナの「イン・ユーテロ」も“レイプ・ミー”なアルビニ、バコンバコンいうドラムのエグい音処理が堪らんでアルビニ)。
以上、他人事の曲が一つもないのよ、ピクシーズ。ブラック・フランシスって親戚のおぢさんでしたっけ?実は幼少を一緒に過ごした仲でしたっけ?と錯覚する程に。好きというより分かってるよ、分かってるって、だから分かりすぎて、デビューEPとファーストとセカンドだけで満足みたいな?まあ、お金があったら残りのアルバムも全て揃える予定、どうせ俺なんか全部わかりきっちゃうだろうし、きっと親戚のおぢさんだ。
あと、我がグラムセンサーもビンビンに反応しちゃうワ。ピクシーズは絶対に「グラムロックではない」と断言できるけど、この奇妙なコード感とかヘロヘロな演奏&歌唱(男女が両方ボーカルとってるっつーのも両性具有ってるし)、“マーク・ボランみ”がチラホラと散見される-ファーストの8曲目「カクタス」なんて、ギターリフからボーカルまで“超T.Rex”……と思っていたらデヴィッド・ボウイがアルバム「ヒーザン(2002)」でカバーしていて心底納得。そう、ボウイ様も“ピクシーズ好き”を公言しており(そもそもブラック・フランシスの方がボウイを聴いていたみたいだし)、ピクシーズにグラムを感じた俺のセンサーの正しさは保証された、好きは繋がる、世間は狭い。
MV撮影の為、雨が止むまで池のカモを眺めながら休んでいたら
ワンちゃんが五匹もいらっしゃった(静かな御利口さん達)
今回はファーストの5曲目「ギガンティック」にした訳だけど(タイトルからしてグラムが過ぎる)、選曲はめちゃ迷った。どれを俺がカバーしても違和感ねえなって。中には悪戦苦闘するカバーも多いから(どうしても俺色になんねえ、俺と混ざらんってヤツ)
己が演奏のこだわりとしては、グラム+グランジ+ガレージロックのGGGの3Gなアレンジにしようと思って(GGGの3Gなアレンジって何?)、何って即ち手前の大好き全乗せで(マアホント欲張りネ!)、分厚く歪んだギターに(90年代はパンクとメタルの垣根をディストーションでブチ壊す!)、男のくせしてヘロヘロなファルセットボイスをイントロやサビのコーラスに入れて“マーク・ボランみ(=T.Rexみ)”をより強調したり(裏声入れるとグラムのグラム量が増し増し!しかしこれは原曲からそう!!)、冒頭の“ジャッ、ジャッ、ジャッ、ジャッ”っていうクリーントーンのブラッシングはニルヴァーナのアレ、「レイプ・ミー」のイントロのソレ(静かなクリーントーンからのドラムインからのバンドインで爆発しちまえスメルズライクティーンスピリット!しかしそれは原曲からそう!!)、そしてドラムのビートはローファイガレージ魂で轟音塊魂なノイズまみれ処理(エクスプロージョン!神楽坂エクスプロージョン!我ジャパメタ万歳!!)
……いつもの如く原詩と、俺の日本語詞をのっけときます。
「Gigantic」
作詞・作曲:キム・ディール&ブラック・フランシス
And this I know his teeth as white as snow
What a gas it was to see him
Walk her everyday into a shady place
With her lips she said
She said, "Hey Paul, hey Paul, hey Paul
Let's have a ball
Hey Paul, hey Paul, hey Paul
Let's have a ball
Hey Paul, hey Paul, hey Paul
Let's have a ball"
Gigantic, gigantic, gigantic
A big, big love
Gigantic, gigantic, gigantic
A big, big love
Lovely legs there are
What a big black mass, what a hunk of love
He'll walk her every day into a shady place
Like the dark, but I'd want him
"Hey Paul, hey Paul, hey Paul
Let's have a ball
Hey Paul, hey Paul, hey Paul
Let's have a ball
Hey Paul, hey Paul, hey Paul
Let's have a ball"
Gigantic, gigantic, gigantic
A big, big love
Gigantic, gigantic, gigantic
A big, big love
Gigantic, gigantic, gigantic
A big, big love
Gigantic, gigantic, gigantic
A big, big love
A big, big love…
日本語詞:Nori MBBM
横目で見る彼の顔
女を連れ去るの
人目のない公園の
茂みの中で彼女が
そう、そう、そう、そうそう
ウソ、ウソ、ウソ、ウソウソ?
そう、想像に任せる
Gigantic, gigantic, gigantic
A big, big love
Gigantic, gigantic, gigantic
A big, big love
下に伸びる四本足
二人はゴミの人たらし
覚えた場所は公園の…
君も観に行こうよ
そう、そう、そう、そうそう
ウソ、ウソ、ウソ、ウソウソ?
そう、想像に任せるの
Gigantic, gigantic, gigantic
A big, big love
Gigantic, gigantic, gigantic
A big, big love
Gigantic, gigantic, gigantic
A big, big love
Gigantic, gigantic, gigantic
A big, big love
A big, big love…
内容はどうしようもない恋の唄(ルースターズ)だけど、あわよくば青噛んで熟って頂戴(椎名林檎風Ⅱ)、しかも“青噛ん”を見ている方で。
まあピクシーズの歌詞は暗示的で、ネイティヴの人からすると一見ナンセンスらしい。意味不明だけど実は具体的なイメージが確固として有る、これは日本のバンドだとホルモンみたいな感じ?詳しくないから喩えが間違ってたらゴメン(しかしマキシマムザ亮君とローリーさんの血が繋がっていること、腹ペコ諸君の誰よりも俺がよく知っている、合掌グラム)。……否、やっぱりごちゃ混ぜ全乗せ感のあるホルモンじゃなくて、ここでもナンバガだな。抽象された歌詞の殺伐さ(“カラッと乾いた狂気”と云えば良いのか)、に於いて相似するので、酷似しているので……ので……ので(←人力ディレイ by 向井秀徳 This is)。
それから撮影時の服装について、今年の手前のテーマは“オルタナティヴ(及びカート・コバーン)”だったと自覚しているので、飾らずにカジュアルな格好でカバーMVしました。ロックンロールとかバンドを演る時に俺が絶対にしない格好、近所のコンビニへ行く時くらいの適当な格好。緑のGAPのチェックシャツは友達の芸人さんから「俺にはサイズが大きすぎたから」と頂いたもので、下は気儘に黒のパンツとドット柄のコンバース。90年代以降のオルタナロック、大量生産型・近所の兄ちゃんを俺なりにやった次第。当初、「やっぱりグラム野郎だから、我が秘蔵のワードローブから女物を厳選して、ゴツい男が女装して演ろうか」という計画もあったんだけど(ドレスコーズの志磨さん云うところの「女装+すね毛=オルタナティヴ(※ドレスマグ特集 #21 参照のこと)」)、それは次回以降にするとします。
公園でヘンなことしないで、静かに野鳥の会でもしようぜ
半年振りの“Nori MBBMのカバーMVシリーズ”、また年末に幾つかアップしようと企んでおりますので、楽しみにして居て下さい。
今日は何日ですか──11月30日──えゝ札幌、の11月30日ってこんなに熱いものなんでしょうかねえ?
-向井秀徳
高円寺も今日は結構冷え込んでいるのだが、俺は何だか身体中が熱くて、どうもオルタナの血が騒いで、居ても立っても居られぬから、次もまたオルタナ、ティヴるだろ?