2019年3月17日日曜日

春はパンク気分(我、グラムロッカー故に)

春なのでパンクロックやります俺の季節です俺の勝手です。



 何故ってパンクロックのルーツを辿れば、そのちょい前のパブロックに60年代のガレージロック、50年代のロックンロールなどに突き当たりますが、もう一つパンクロックに多大なる影響を与えたもの──それこそ我らが“グラムロック”なのであります!!!ガハハハハ

 嘘か真(まこと)か、セックス・ピストルズのボーカル“ジョニー・ロットン”はピストルズのボーカルオーディションでアリス・クーパーの「エイティーン」を歌ったとか、ギターの“スティーヴ・ジョーンズ”はデヴィッド・ボウイの大ファンでジギースターダスト・ツアーの舞台裏に忍び込んでボウイたちが使う楽器を盗んだとか、実際に16歳の“シド・ヴィシャス”少年がボウイの髪型でボウイのシャツ着て嬉しそうに73年のボウイのライヴに参戦している写真もあるし(これを“萌え”と云わずして何と言うか)、そもそも“ピストルズ”唯一のオリジナルアルバム「勝手にしやがれ!!」をプロデュースしたのはロキシー・ミュージックやミカ・バンドも手掛けたクリス・トーマスだし(ギラギラとしたハードロッキンな分厚いギターの音マジ最高☆)、ピストルズというバンドをでっち上げた“マルコム・マクラーレン”はそれ以前に後期ニューヨーク・ドールズのマネージャーだったし、大体からして“ニューヨーク・ドールズ”というバンドの存在そのものがグラムとパンクの近親性を物語っているし、その他にもクラッシュのギター“ミック・ジョーンズ”は当初グラムバンドを組んでいてドールズやモット・ザ・フープルの追っかけもやっていたとか、てか“クラッシュ”の2ndのラストに「すべての若きパンクスども (All the Young Punks)」っつーあからさまなモット&ボウイ「すべての若き野郎ども (All the Young Dudes)」へのアンサーソングもあるし、“ダムド”はマーク・ボランのお気に入りでT.レックスの最後のツアーに起用されて一緒に各地を回ったとか……他にもエピソードは幾らでもあるんだけど、グラムとパンクは親類、というより兄弟、同じ遺伝子を持った優しい兄ちゃんとやんちゃな弟です。


 音楽的に云えば基本スリーコードでポップだし、一曲がラジオで流せる(2~3分)位の長さだし、そんな感じでレコード会社はアルバム以上にシングル盤を売りにしていたし、両者とも“古き良きロックンロールのリバイバル”をやろうとしていたのです(これは大学の卒論でもめちゃくちゃ長々と書いたぞ!しかし就活で何の役にも立たなかったぞ!しかし就活は何の役にも立たなかったぞ!人生に於いて一度もな!)。ファッションにしてもグラムとかパンクって“ロックンロールショー”な出で立ちで、とにかく派手で華があるのよね!!

 詰まるところベトナム戦争が泥沼・膠着化していた60年代末のアメリカに於いて、ヒゲ面ジーンズのヒッピー達は自然回帰志向や“ラヴ&ピース”を表明していた訳だけど、それに対するアンチテーゼが70年代初頭のグラムロックに於ける人工的なプラスチック感とかSF要素で、「愛と平和?現実はクソなまんまじゃねえか!」っていう若者の苛立ちや不満を代弁し、過激なライヴ活動を推し進めていったのがイギー・ポップ(彼も時にグラムであり永遠のパンクアイコン)で、67年のビートルズのアルバム「サージェント・ペパー~」以降のロックのアート化、後のプログレやハードロックの技巧的大作志向、アルバム至上主義に対して、グラムはシングル盤の復権、50年代のロックンロールのリバイバル、“ロックを10代の若者達に返せ!”っていうのを2~3分の単純なスリーコードでやった訳──それを更に過激化させたのが“70年代末のパンク”ということです。


 因みにこの楽曲を選んだのは“シャム69”のファンだからという訳ではなく、名古屋の“スタークラブ”っていう日本最古参のパンクバンドが30年以上前にパンクだけをカバーする企画アルバムでギンギンに演っていたのを聴いて、「かっちょえぇ、俺もいつかカバーしよ」と学生時代から数年間温め続けてきた想いを今回やっとカタチにした、という訳で御座居ます。ガッチリとした漢らしい歌と演奏が、めちゃくちゃカッコ良かったんだよね!!

 スタークラブは原曲の英詩のままカバーしていて、その内容は要するに“少年院を脱け出して好きなあの娘に会いに行くんだ!”というものなんですが、俺らは“少年院”というものをもう少し広く大きく捉えて、“青春囚われ”とか“生活の檻”なんて比喩もしながら意訳しました。つけた邦題はまんま「少年院脱走」。


「少年院脱走 -Borstal Breakout-」
作詞・作曲:デイヴ・パーソンズ&ジミー・パーシー


I'm sitting in this cell for something I didn't do
And all I can think of is baby I think of you
Don't worry baby coming back for you


There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout


Now I've got the chance I don't care about what I do
When I done them things I done them just for you
And now I'm getting out coming back for you


There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout


Well now I'm over the wall I'm nearly home
I'm coming through that door coming back to you
Now I'm nearly home nearly back for you


There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout



日本語詞:Nori MBBM


青春囚われ、ようこそ生き地獄
たいして悪いことはしてないよ
それでも理不尽、お前にやってくる


There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout


夢だの恋だの金だのうるせえよ
脱獄、脱獄、脱獄しちゃおうよ
生活の檻で虚しく吠えまくる


There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout


老後は君と一緒に暮らすんだ
いつも“捕らぬ狸の皮算用”
狸の気持ちもだんだん分かる


There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout
There's gonna be a borstal breakout




 MVの撮影場所に選んだのは、中野にある廃アパートの一室──中が汚すぎたので土足(ブーツ)で畳を踏んで済まぬ。洗面所や浴室、押し入れもガチの昭和アングラ臭を醸し出していて、「MVの素材になるな」と思って撮影しようとしたけど、本当にお化けが出そうなのでやめた。

 手前の服装については、数年前に若気の至りで日に日に付けるのが増えていった“缶バッヂ23個ジャケット”を着用(今回数えたら24、5個になってたかも)。下にはグラムでパンクなイギー・ポップのロックTをば。


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 今日はヒロトさんの誕生日(春はパンク気分、きっと彼のせい)!!5月には俺らとシドの誕生日(春はパンク気分、これもその原因だぜ)。


 ホントどうでも良い事だけど、おととい駅前で迷子になって泣きベソかいてる男の子を助ける夢を見た。今回のカバーと何か関係があるのか、何某かの啓示?誰か夢分析たのむ!!

 ほいだらっ


2019年3月14日木曜日

“happy honey white day.”

男の抱く最も激しい感情が、はじめて心に吹きだすさまは、それ自体なんと不思議に満ちたものでしょう。私は伯母の客間で、何人かの美しい女性に会いました。だが、ちらっとさえ心をひかれた女性はそのなかに一人としていませんでした。むしろ異性全体に心を向ける年頃にありながら、一人の人にのみささげる情熱が生れくる源には、あるきまった時間とか、惑星の一定の組み合せとか、特殊な事情の符合とか、多くのなかにもこれという定まった女性があってのことでしょうか。
-フェリックス・ド・ヴァンドネス

 先月のバレンタインデーに“ジザメリちゃん”やって、お返しのホワイトデーに“スピッツ”ときた──その心は、ミーもマサムネも隠れシューゲイザー故に。



 てな訳で今回のカバーMVはスピッツの「ビー玉」。この曲は前の職場の先輩女性に「“スピッツ初期三部作”を聴きなさい」という事で、1~3枚目のアルバムを貸して頂いて知った楽曲です(今も芸の肥やしになっております、有難う御座居ます)。

 一般的にスピッツは“好き”というより“嫌いになる要素が一つもないバンド”と言った方が正確な気がして、マサムネさんの描く手垢のついてない、そう、無垢な白昼夢の如き幻想世界が魅力的ですが、「空も飛べるはず(1994)」、「ロビンソン(95)」、「チェリー(96)」などで世間一般に認知される上記の様なスピッツ像を確立する以前、この初期三部作(91~92)は特にシュールで、ちょっと不気味で、何考えてるのかよく分からなくて、とぼけた可愛さがあって、否応なしに惹かれるものがあります。初期の方が変態的な歌詞多いのよね、“ピンクのまんまる”とか“盗んだスカート”とか(笑)


 あとグラム野郎のNori MBBMから言わせて貰うと、志磨さんのクリスマスライヴ等でもお馴染みの“長谷川智樹先生”が初期スピッツのアレンジを数曲やっておられ、91年発売の3rdシングル「魔女旅に出る」の優雅なストリングスとか本当にメルヘンで堪らんのよ(ちょっとジブリ感なあい?)。何を隠そう長谷川先生は70年代のグラムロックが大好きでROLLYさんとも親友、同じグラム好きの田島貴男さん率いるオリジナル・ラヴの代表曲「接吻」のストリングス・アレンジもされていた偉大な方なので御座居ます(もしや“和製トニー・ヴィスコンティ”?)

 それと初期スピッツは“ライド歌謡”なるものを標榜していた──故に隠れシューゲイザー──らしいけど、シューゲイザーのギターノイズの洪水って浮き世離れしていて、個人的にはSF要素のあるグラムロックの非日常観が頭を過(よ)ぎるというか、「ジギー・スターダスト」や「メタル・グルー」のド頭“Gメジャー”のあの感じ──あの響き、俺らにはとても美味しい音、色鮮やかな音──それがスピッツにもあるから恋をせずには居られません。ちゃんと音に華があるのです──そして花には花の色があるのです──Gメジャー、五月の緑、おのが色聴


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 今回の我が演奏に関しては、のんびりポヨポヨだけどずっしりバシバシいうリズムトラックに、己がアコギな弾き語り、仕上げに手前のノスタルジーを出来るだけ丁寧に込めたシンセサイザーたち──ヨーロッパの何処か下町にある細い路地の石畳の上で踊る様なリードオルガンに、大好きなローズピアノ(エレピの音って優しいのにちょっぴり寂しげで堪らんね)、それからメルヘンなフルートや木琴の音色とか──もいつものアナログな手弾きでオーバーダビング。



 MVは多摩川の河川敷で撮ったのですが、録音・撮影のだいぶ前からメルヘンな演奏と映像の大まかなイメージがあったのです──朝とも昼とも夕ともつかない空、時刻や天候の判別がつかない白昼夢の様なね。実際、高校の友達と下校中の寄り道だったか休みの日だったかに、多摩川の河川敷で石ころの水切りとかして遊んで、空が暗くなってきたら“じゃあね”した思い出が無数にあって、あれは何の思惑も目的もない不思議で無意味で大切な時間だったな(彼は今も元気だろうか)。


 また何で一般的に有名ではなく、かといってスピッツマニアの間でも大して話題にならない「ビー玉」という楽曲を選んだのか?という事だけど、一目、否、一耳惚れです──理由は分からん、何となくずっと好きな曲。

 一応好きな理由を言語化してみるか……うーん、BPMが135とゆったりで丁度良いし、歌い出しの“やーんやんやんやん”とか謎のスキャットがおもろいし、しかもその部分は歌詞カードに記載ないし、グラムロッカーが演るメルヘンでキラキラしたフォーク調なナンバーにも聴こえるし、もう楽曲全体の雰囲気とかフォルムが好き!!(ビシッと上手く言えねえなあ)


 不思議で、シュールな、捉えどころのないスピッツ、まさにマサムネさんの極み。特に目立たないけど、ずっと気になって仕様がない子。いつまでも忘れられず、時たま夢に出てきて、起きては独り寂しくなる──くそっ、可愛い、なんで俺のものにならんのだ君は──そんな感じの曲です。ありがとうございました(ペコリドグマッ)