2020年12月31日木曜日

令和二年“逍遥自在”完了

皆様、本年も一年有り難う御座居ました。今年の年賀状で元旦に掲げた我がスローガン、何だったっけ?



 個人も国家も数多の場面で思い通りに行かない一年であったが、良くも悪くも世界中の足並みが揃い、初めて白紙状態から時代に取り組んで行ける、という此の稀有(けう)な感覚は生きている甲斐があったというものです。


 皆様、もう浮世離れはOKね


 “逍遥自在”、完了。


 また来年もよろしく!!


2020年12月30日水曜日

あんたの踏み石にはなんねえぞ!!

当記事のタイトルは誰かへの腹癒せではなく、今回カバーMVするナンバーの我が邦題です、悪しからず。

 改めまして、“グラム歌謡メタル野郎”ことノリ・エムビービーエムで御座居ます。前回はジュリーでグラム歌謡、今回は令和二年の集大成にメタル演ろう、でござんす。



 彼(か)の猿こと“ザ・モンキーズ”のカバーでありんす(ポール・リヴィア&ザ・レイダースが半年先に演ってるけど、最も有名なのはモンキーズ盤なのでね)。もともと彼の猿たちは、英国の甲虫こと“ザ・ビートルズ”に対抗して、米国にて組織されたロックンロールバンド集団でございやす。

 ロック音楽史に於いて、ビートルズより文化・芸術的な功績を称えられるものは中々お目に掛かることがなく、モンキーズもまた“大人達に作られたモンキービジネスなアイドルバンド(お猿に掛けたっ座布団一枚っ)”として、こと芸術的な側面は見過ごされがちですが、♪ずっとゆめぇをみて~のキヨシローさんをはじめ、様々なローラーらから未だにカバーされ続け、リスペクトというより愛されまくっているバンドでやんす。


題:ソーシャルディスタンス、或いはステイホームより、メタル野郎。by Nori MBBM

 今回取り上げた楽曲「ステッピン・ストーン」のカバー事例だけでも、セックス・ピストルズやミッシェル・ガン・エレファント、そして“グラム歌謡メタル野郎”なローリーさんら錚々たる顔ぶれで、私は大好きなそれら全てをミックスして、いつも通り自ら和訳した詩をつけました。具体的には、ピストルズのジョニー・ロットンのライヴでの即興歌唱、ミッシェルのアベさんのギターリフにチバさんのシャウト、ローリーさんのゴシックでメタルなリードギターとシンセのフレーズetc.……全てを継いで接いで最早「フランケンシュタイン、あるいは現代のプロメテウス」で在ります。それでは恒例、原詩と我が日本語訳詞を載せて置きます。


「(I'm not your) Steppin' Stone」
作詞・作曲:トミー・ボイス&ボビー・ハート

I, I, I, I, I'm not your steppin' stone
I, I, I, I, I'm not your steppin' stone

You're tryin' to make your mark in society
You're usin' all the tricks that you used on me
You're readin' all them high-fashion magazines
The clothes you're wearin', girl, are causin' public scenes

I said I, I, I, I, I'm not your steppin' stone
I, I, I, I, I'm not your steppin' stone

Not your steppin' stone
Not your steppin' stone

I, I, I, I, I'm not your steppin' stone

When I first met you girl you didn't have no shoes
But now you're walkin' 'round like you're front page news
You've been awful careful 'bout the friends you choose
But you won't find my name in your book of Who's Who

I said I, I, I, I, I'm not your steppin' stone (no girl, not me)
I, I, I, I, I'm not your steppin' stone

Not your steppin' stone
I'm not your steppin' stone

Not your steppin' stone
Not your steppin' stone
Not your steppin' stone
Not your steppin' stone…


日本語詞:Nori MBBM

I, I, I, I, I'm not your steppin' stone
I, I, I, I, I'm not your steppin' stone

世の中に認められたいね
汚れた手でも構わないね
余は満足じゃ、なんてね
みんな欲しがる服と言動で

I, I, I, I, I'm not your steppin' stone
I, I, I, I, I'm not your steppin' stone

Not your steppin' stone
Not your steppin' stone

Not your steppin'

Not your steppin' stone
Not your steppin' stone
Not your steppin' stone
Not your steppin' stone

Not your steppin' stone
Not your steppin' stone
Not your steppin' stone

Steppin' stone

I, I, I, I, I'm not your steppin' stone
I, I, I, I, I'm not your steppin' stone

俺と会ったら普通なのに
馬鹿と何か競い合ってる
世の中のお気にの友達
馬鹿な俺の名はそこにない

I, I, I, I, I'm not your steppin' stone
I, I, I, I, I'm not your steppin' stone

Not your steppin' stone
Not your steppin' stone

Not your steppin' stone
Not your rollin' stone

Not your steppin' stone
Not your fxxkin' stone

Not your steppin'



 俺を踏み台にしたぁ(今回の俺らの服、色合いが“黒い三連星”ぽい)?いや、この歌で言いたいことは唯一つ、「あんたの踏み石にはなんねえぞ!!」ってね(三連星に掛けたっ座布団三枚っ)。


黒のサバスTでキメてトニー・アイオミ咳込みパラノイド気分

 服装に関しては、まず古着で手に入れた色んな意味でグレーなナポレオンジャケットね。これは“ドイツ民主共和国国境警備隊”の制服で、かつてドイツやベルリンの西側へ亡命する人達を監視していた東側の警備隊のジャケットの実物になります。しかも前に着ていた人物がハードコアだったのか、随所に角鋲や“G.B.H.”のペイントなどが施されております!やはり古着は歴代の持ち主の情念を感じるね着ちゃうよね来ちゃうよね

 前々回のカバーMV「夢は夜ひらく」で、俺の生まれた年にベルリンの壁が崩壊したこと、それが何を象徴して現代へ至っているのかについて歌ったんだけど、最近はまた世界中が各人各様に壁を作り始めて、令和二年の年末の高円寺の奴と、東ドイツで国境警備をしていたベルリンの壁の奴と、俺の中でいま一人になってこれを着た訳。断じて社会主義者ではないが、形骸化した我が国の資本主義を今年で終わらせる為(これも「夢は夜ひらく」で表明済み)。好きな音楽も車も映画も服も文学もサブスク・データ化、何も持たずに分かち合おうってか(イヤン)

 マルクスの続きに取り掛からないといけない──いけないと言っている時点で、面倒くさくて骨が折れると思っている。経済の成長なんて止(や)めないといけない──成長は止まっているけど、欲望は今も大きくなるばかり。国家は幻想──個人と一緒、僕の後遺症。

 俺は俺のブランドを止めろ、と俺に言わなければならない。俺は俺に無駄遣いを止めろ、と言わざるを得ない。俺は俺のMBBMのミスターバーニングビッグマックのパティのビーフの多頭飼育の畜産業を脱しなければならない、という自己紹介の矛盾に来年は丑年。矛と盾を抱えたまま地球とか人や牛に優しさを示さなければならない、という矛盾も矛盾で来年は丑の年。

 このブログは何を壊し、誰の首を絞めているのか、改めて考えて居る。そこから少しずつ変わって行ける、と本気で思っている。私は必要不可欠であるべき、ならば私の不必要を減らせ、と息苦しくなってきました、グレーな領域が許されなくて。

 グレーなナポレオンジャケットを着ることだけは許して!!人民服を着るかどうかは国でなしに俺が決めるから!!

 あとはメタル野郎な黒のサバスT、数年前に高円寺の友達が呉れたブラックスキニーカーゴパンツ、日本ではドクターマーチンほどの知名度はないがロッカー御用達の“ゲッタグリップ”のエンジニアブーツ等を着用(俺のはサブスクでシェアできないね)。これで完成、俺・メタル・2020冬(夏のはコチラを参照ね)。



 それでは令和二年よ、有り難う!!

 世界的な疫病よ、新型コロナよ資本主義よ、左様なら!!


 来年もグラム歌謡メタル野郎、演ろう


 ドグマッイヤァオ


2020年12月17日木曜日

“This is real, not nostalgic.”

おまえ、葡萄(ぶどう)の木よ。なぜおまえはわたしを讃(たた)えるのか。わたしはおまえを切ったのに。わたしは残酷だ、おまえは血を噴(ふ)いている──。おまえがわたしの酔いしれた残酷さを褒(ほ)めるのは、どういうつもりだ。
 「完全になったもの、熟したものは、みな──死ぬことをねがう」そうおまえは語る。だから葡萄を摘む鋏(はさみ)はしあわせだ。それに反して、成熟に達しないものはみな、生きようとする。いたましいことだ。
 苦痛は語る、「過ぎ行け、去れ、おまえ、苦痛よ」と。しかし、苦悩するいっさいのものは、生きようとする。成熟して、悦楽を知り、あこがれるために。
 ──すなわち、より遠いもの、より高いもの、より明るいものをあこがれるために。
-ツァラトゥストラ

 ここ数日で急に肌を刺すくらい冷え込んでまいりましたね、師走だろうとマイペースなノリ・エムビービーエムです。我がカバーMVも27本目となりまして、27本ですからね、27……ニーナ、オーニーナ



 ということで「追憶」です、ジュリーです。

 私にとって、あらゆるものの理想形は“王道を行く全能感”であり、これ即ちジュリーです。サブカルチャーでもカウンターカルチャーでもなく、堂々たるメインカルチャー。

 吉井さんが2007年の別冊カドカワのインタビューで、自身の8枚目のシングル「シュレッダー」が持つ楽曲的要素について、“ミッシェル・ポルナレフみたいな感じ”、“フレンチっぽくて、歌謡曲っぽくて”、“沢田研二さんな感じも”と言っておられましたが、ジュリー自体がまさにそう云えるし、歌謡曲でシャンソンで(←言語は違えど意味は同じか)、時にハードロック、ハードにポップでもあり、過剰で偏執的かつ光輝くグラムな存在なのであります(吉井さんのザ・イエローモンキーもそう)。

 つまり、グラム歌謡メタル野郎にとってジュリーやロビンは超自然的な存在でありますが、加えて、世間一般にとっても“王道を行くロックスター”であり、そこが尚更尊敬の念を禁じ得ないのであります。めちゃくちゃマニアックでフェティッシュなのに、何時も大衆の眼前に君臨して居る、その佇まいが堪らんのです。恐らく、陰と陽のどちらも持ち合わせた状態であり、その器の大きさや懐の深さ、真面目に不真面目で健康不健康なところが、大好きなのです。


「追憶」の歌詞に“白いバラ”とあるので白薔薇を──花言葉は“純潔”、“相思相愛”

 そんな王道を行くロックスター・ジュリーの歌う曲はどれも、煌びやかに芳しく豊潤で重層的構造を成しておりますが、「追憶」はその最たるものではないでしょうか。ロックともバラードとも歌謡曲ともシャンソンとも言い切れず、まったくその全てである、全てを股に掛けて居る、ぐぅ

 ジュリーにしてもイエモンにしても、原曲が理想的で好き過ぎるが故、カバーのアレンジや意義を見出だすのに苦労するのですが、今回は思い切って弾き語りアレンジでやってみよう!となりました。作曲の加瀬さん(ワイルドワンズ)もアコギ一本の弾き語りでこの曲を作ったのかなと思うし、絢爛に着飾った原曲を本来の肉体美に戻して、生々しく晒してやる、という算段でございます。……まあアコギ一本と言っておきながら、アナログな手弾きシンセを入れまくりましたが(個人的にストリングスとか頑張ったから聴いてみてね)


100年以上前の壁掛け時計も……ん~追憶(MV冒頭で唸っております)

 今回の撮影場所は、西荻のとあるカフエーでございます。壁にはびっしりアンティークなハードカバーやカップ&ソーサー、コーヒーミルに一世紀以上前の壁掛け時計、世界に二脚しかないヴィンテージな椅子等々、とても素敵な雰囲気のカフエーで御座居ました……あ、“カフエー”というのは大正浪漫気分になってしまったので、小さなカタカナの“ェ”が読めなくなってしまい、つい(ボディーを“ボデー”と言う爺さんが如く)


筆者による三島の“薔薇刑”ごっこ

 カバーMVするに当たり、「追憶」が発売されてから四ヶ月後の昭和49年(1974年)11月に放送されたジュリーのラジオ番組なんかをYouTubeで聞いたりもしてたんだけど、作詞をされた安井かずみさん(=ZUZUさん)のとびきりチャーミングなこと。学生時代にZUZUさんのアルバムを買って聴いたり、お写真を見たりして、もっとクールビューティーで退廃的なお方だと思っていたら、ユーモラスでお茶目で可愛らしく、ますます好きになってしまいました。

 ちょうど旦那さんである加藤和彦さんの傑作“ヨーロッパ三部作”を聴きながら、好い気分のまま筆を置きたいと思います。


 それでは波乱万丈な令和二年よ、ご機嫌よう