つまりはフィレンツェの詩人(訳注 ダンテをさす)にとってのベアトリーチェ、ヴェネチアの詩人(訳注 ペトラルカをさす)にとっての汚れなきラウラ、偉大な思想の生みの親、身を救う決意のかくされた原因、未来の支え、ほの暗い茂みの中で輝く百合のように、暗闇を照らす明るい光となったのです。
－フェリックス・ド・ヴァンドネス
ヴェルヴェッツが、ルーの事を好きなのは、これは俺だ、いや別の人だが、しかし俺に違いない、どうして俺と違いがない、と常に目が離せない存在であるから。今回カバーした“ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート”を例に挙げれば、レコーディングに一ヶ月くらい煮詰まり続けて「もうこれ以上、音を重ねられません」と観念した己が宅録デモさながら、鼻に掛かる中音域の歌声はデカいベース音に包まれて不明瞭に籠って仕舞い、音割れ寸前のピアノとギターは殆どノイズと化し、終いには混沌とした音塊に埋もれたドラムは甚だ聞き取れず……それでもリリースしちゃうルーに乾杯！！そしてミーが溺愛。ならばユーは？こんな自分勝手、破れかぶれでヒドい出来合い？ノン、グラム歌謡にはメタル野郎がお似合い。
要するに今回、“原曲そっくりそのままカバー”など演ろうと思えば造作もなかった訳ですが、グラムロッカーがストレートに何かを表現することはコークスクリューヘア(ex.マーク・ボラン、イアン・ハンター、ヒーセおやびん)にストパーをかけるくらい有り得ず、“グラム歌謡なルーとメタル野郎なメタリカって十年くらい前にコラボしてたよな”なんてこともフラッシュバックし、ギンギンのリズムにガシガシとメタリックなディストーション塗れのギターを弾きながら、聴感上いちばん違和感の無かった関西弁に訳して歌って演ったのだ。そんな出鱈目、やりたい放題やりやがってってお思い？ノン、グラム歌謡にはメタル野郎がお似合いⅡ。
ルーとメタリカとMBBMはノー・ライフ・ティル・レザー(マスターオブパペッT着用)
話は逸れるが、件のルーとメタリカのコラボ(アルバム「ルル(2011)」)については賛否両論で、特にHR/HM界隈から酷評されたらしいけど、あれ最高だったぞ(いま聴き返してる)。メタリカという磐石の布陣を敷いてルーが詩吟する(しかもジェイムズ・ヘットフィールドのコーラス付き！)、俺はこれが聴きたかったぞ！！4曲目くらいまで聴いて「めちゃくちゃ重苦しくストイックでグラム歌謡メタル野郎なアルバムじゃねえか」と独り歓喜、5曲目“アイスド・ハニー”で「普通に良い曲！！よくやったぞルー、メタリカ」とガッツポーズ、その流れからの6曲目“チート・オン・ミー”で「そうか、このアルバムはとんでもない事を仕出かして仕舞ったんだな、、」と静かに打ち震え……このコラボを酷評したメタルの風上にも置けぬ奴はルーの5th「メタル・マシーン・ミュージック(1975)」を聴いてから出直して参りなさい、と苦言を呈して置かなければならぬ。詰まりこれってメタルなルーは許せるが、ルーなメタリカは許せないって事でしょう。ルーのフアンは恐らく構わんよ──ルーのメタリ化(言いたかった)。理想のメタリカ像に固執するメタル信者、スラッシュメタル原理主義みたいな人が、彼のコラボを酷評しているというだけの話。そういう輩はジェイムズにヘットフィールド掛けられて、カークにハメットされた揚げ句、ラーズからウルリッヒされるべき
※もっと脱線して大好きな車の話をすれば二十年以上前、かつてインプレッサ信者の一部が「新型インプださすぎ」「ファニーフェイスにしやがって」「3ナンバーに肥えやがって」とGD型が登場した時に初期・丸目をディスったのと同じ構図(そういう奴に限ってGD中期・涙目、後期・鷹目は手の平返しで称賛しやがる)、則ちそんなのはGC型に固執するグループA野郎だ、そして俺はそいつらよりGC型もグループA時代のマシーンも心から愛しているので、今回のメタル(原理主義)野郎の分からず屋にも腹が立つ
閑話休題。それからまた私の悪い癖で、ドールズやルースターズの時にも採用した“BUCK-TICK・今井寿方式”、その引用の引用のそのまた引用、INUは町田町蔵いたし候パンク侍斬られて候♪みんなはイモハードロックバンドの演奏にうんざりしてうっとりとなったぁ、、
「White Light/White Heat」
作詞・作曲：ルー・リード
White light, white light goin' messin' up my mind
White light, and don't you know its gonna make me go blind
White heat, aww white heat it tickle me down to my toes
White light, ooo have mercy white light have it goodness knows
White light, white light goin' messin' up my brain
White light, aww white light its gonna drive me insane
White heat, aww white heat it tickle me down to my toes
White light, aww white light I said now goodness knows, do it
Hmm hmm, White light
Aww I surely do love to watch that stuff tip itself in
Hmm hmm, White light
Watch that side, watch that side, don't you know it gonna be dead in the drive
Hmm hmm, White heat
Hey foxy mama watchin' her walk down the street
Hmm hmm, White light
Come up side your head gonna make a deadend on your street
White light, white light moved in me through my brain
White light, white light goin' makin' you go insane
White heat, aww white heat it tickle me down to my toes
White light, aww white light I said now goodness knows
White light, aww white light it lighten up my eyes
White light, don't you know it fills me up with surprise
White heat, aww white heat tickle me down to my toes
White light, aww white light I tell you now goodness knows, now work it
Hmm hmm, White light
Aww she surely do moves me
Hmm hmm, White light
Watch that speed freak, watch that speed freak, everybody gonna go and make it every week
Hmm hmm, White heat
Aww sputter mutter everybody gonna go kill their mother
Hmm hmm, White light
Here she comes, here she comes, everybody get 'n gone make me run to her
日本語詞：Nori MBBM
(White light)ほら己が目茶苦茶
(White light)どんな目に遭うか知らんで
(White heat)アアヒリヒリヒリハレホ
(White light)おお恥ずいて辱め
(White light)ほら脳は滅茶苦茶
(White light)嗚呼メシ喰うな気い狂て(by 町田町蔵)
(White heat)アアヒリヒリヒリハレホ
(White light)嗚呼愛してや神様、どや
(Hmm hmm, White light)
嗚呼愛し愛されるその予定やってん
(Hmm hmm, White light)
わしゃ知らん、わしゃ知らん、あっちゅう間に死んじゃうやん
(Hmm hmm, White heat)
ええ女と御見を知り
(Hmm hmm, White light)
かと思えば身の程を知り
(White light)俺ら頭来ないねん
(White light)歯向かうなや気のせい
(White heat)アアヒリヒリヒリハレホ
(White light)嗚呼愛してや神様
(White light)嗚呼眼ではよう見やん見やん見やん
(White light)どうせようけぎょうさんやろ
(White heat)アアヒリヒリヒリハレホ
(White light)嗚呼愛したやん神様、戯け
(Hmm hmm, White light)
嗚呼白い光が見えます
(Hmm hmm, White light)
わしゃ急げ、わしゃ急げ、何処何所公園駆け巡る
(Hmm hmm, White heat)
嗚呼それじゃまた縁故を絶って駆け抜ける
(Hmm hmm, White light)
既視感、既視感、全然怖ないやろ
とぅや
照明ライト/証明ヒート(ヴェルヴェッツの2ndが好きな貴方、おめでとう、イカれ野郎です)
嗚呼言わずもがな、そもそもホワイトデーだから今回の選曲と相成りましたで御座る。ずばり、happy honey white day Ⅱ./シューゲイザーズホワイトデー2022で御座在る。上段でメタリカのことを話題にしちゃったもんだから(だってグラム歌謡メタル野郎)、今回のカバーはシューゲイザーと関係あんの？と首を傾げられても仕方ないが、2019年に演ったスピッツも今回のヴェルヴェッツも我がシューゲイザーのゲイズするところのゲイジング範疇その範囲内なのです。そうそう、前述したルーの最大の問題作「メタル・マシーン・ミュージック」は本人曰く“ヘビメタを演った”とのことで敢えてメタリカの話している時に挙げさせて頂いたのですが、個人的な評価としては“世界一早く世に出たシューゲイザーの名盤”であると考えています(1975年当時、裸のラリーズはまだ作品を発表してなかったし)……とにかくですねノイズ増し増し“ホワイトライト/ホワイトヒート”したのでシューゲイザーズホワイトデーということですな(長々書いといて急に投げやり)
目に見えない新型のウイルスが流行する一方で、ロシアによるウクライナ侵攻の肝を潰す様な映像を日々目の当たりにすると、いよいよ全てが不謹慎に思われてきて、なにがhappy honey white dayだって感じだが、日米安保も今は昔、世界の警察なんて元からなかったし、手前の幸せは手前で仕合わせる他ないので、こう書いて歌っている──“Aww sputter mutter everybody gonna go kill their mother/嗚呼それじゃまた縁故を絶って駆け抜ける”。そう手前で訳したのは、己がヒジュラ(聖遷)なんである。
ヒジュラ、つまりメッカからメディナへのムハンマドの逃避は、血縁の断絶と新たな共同体の設立を確固たるものにした。この共同体は、選択制の友好関係に基づいていて、この友好関係の宗教的な形式を採用した人に開かれていた。
－ジョルジュ・バタイユ
33歳を目前にして、ようやっと選択制の友好関係を築ける様になってきた。もう野暮なことはしない。次回でカバーMVも40本、演ることは全て決めてある。それでは左様なら
