もしきみが裁判に行くなら、しっかりした市民が見つけられる機会がある良い地区へ行ったほうがいい。
-マヌエル・ガルシア・オケリー・デイビス
悪い人達のせいで、人が人を裁く事の違和も感じなくなったが、やはり馬鹿にむかつくので、良き人が善き裁きをしておくれ。
罪人が甘く見られる世界で、善人が苦しめられる処で、良きは善きと識(し)っても、悪しきは悪しきでしかないと認めてくれ。
悪魔に付け込まれ、それより強くなるは不可能だと思われる程に騙され、良きが善きと呼べる位に覆(くつがえ)され、オセロもオセロが黒に塗り潰される。
今回は云わずと知れた世界一有名なロックンロールバンドのカバーですが、私にはずっと難しいバンドでした──何が難しいって職人だから、ブルースの。ビートルズやフーが提示するような革新性は鼻に付いてしゃらくせえし、キンクスの人懐こいポップセンスも要らん。気付いたら始まってて、気付いたら終わってる。職人芸、或いは人生。
バンド名が“転がる石”ってのは言い当て妙な話、その巌の厳めしさや貫禄が貴様に感じられるのかって咄、似たような漢字の感じみたいな的な自然な噺。私、正直ふらっと寄っては“こんなもんか”とただ帰ってました、つまりロック史に残るストーンズ黄金期の名盤を聴いても“ふーん”としか思わなかったし、酷評されている幾つかのアルバムを聴けば“全然カッコ良いじゃねえか”とも思ったし、世間の評価ほど絶賛も批判も出来ないバンドでありました、自然すぎて、違和感なさすぎて……偉大とはこの事か。自分なりの評価が十代より確立されていたビートルズはとうの昔にカバーMVしてたけど、ストーンズの方は今日の今まで掛かってしまいました。あッ(←村八分)、今日はSirミックのお誕生日です、78歳おめでとうございます。4,000人斬り(←誰が数えたんだよ村田英雄)。今じゃストーンズ好きですよ、人生くらいには。
今回の楽曲ですけど、元々はストーンズが1966年に出したシングルで、アルバムだとUS盤の「アフターマス」に収録されております。あッ(←村八分2回目)、“ストーンズのUK盤/US盤どっちを選ぶか”問題についてですが、私は勿論UK盤一択です(US盤はジャケットデザインや選曲順に誠実さを感じられないので)。それからご承知の通り、当カバーMVシリーズで洋楽を演る際は拙者による日本語訳詩が基本ですが、そこは世界一有名なバンドの代表曲の一つでしたから、既にキヨシローさんや吉井さんによる和訳がありましてですね、今回は原曲に近い“キヨシローver.”の日本語詞で演らせて頂きました。但し、キーはストーンズの原曲と同じです。
昨年は初めて緊急事態宣言が発令されて面喰らった瞬間もありましたが、今年はオリンピック中心に矛盾だらけで動く国の身勝手にぐだぐだと付き合わされる一年であります。“イモなドラマは見たくもねえ”、“黄色も白も赤も興味がねえ”という訳です。この黒い感情をイカした音の塊に、暑中御見舞として皆様へお贈り致します(ブライアンに敬意を表して、シンセでシタールも弾いて演りましたワ)
粋なブログで野暮なこたぁ愚痴りたくないので話を戻します、貴方はストーンズのどのアルバムが好きですか?そこにこそ興味がある。圧倒的に力説されてみたい。え、ストーンズに興味ない?手前は何が好きなんだって?手前は“ストーンズによるビートルズの模倣”と嘲笑された「サタニック・マジェスティーズ(1967)」のヘンテコなサイケ感も好きだし、“ストーンズによるストーンズの模倣”と揶揄された「スティール・ホイールズ(89)」も結構好きだけど、一番のお気にはジャケ写でもう一目惚れしちまったUK盤の「アフターマス(66)」であります(今回カバーした“黒く塗れ”は上述したようにUS盤にしか入ってないですが)。音的には勿論ミック・テイラーが居た時期の大胆不敵で豊饒な演奏が心地良くてしっくりくるんだけど、「アフターマス」は最初から最後まで緊張感を保ったまま矢継ぎ早にストーンズの黒いリズム及びブルースを聴かせてくれるから最高です最強です。てか“アンダー・マイ・サム”とかいう神曲で全てキマりっしょ(ルースターズの高速カバーもね、ありゃ一発でトべますから)
黄金期とされる中でも「ベガーズ・バンケット(68)」とか「スティッキー・フィンガーズ(71)」はソリッドで潔くて半端ぢゃない作品だと思うし、それ以外の時期でも曲単位なら一撃必殺みたいなカッコ良いナンバーたくさんあるけど、正直ストーンズってアルバム聴いてるとダレてきませんか?カバーばかりの初期とかは別として(現時点で最新の「ブルー&ロンサム(2016)」も最高なカバーアルバムだ、ジジイになるって最高にブルーズだ)
ヒロトが好きな「レット・イット・ブリード(1969)」も、志磨さんの好きな「山羊の頭のスープ(73)」も、サンハウス(←日本の)やルースターズや南浩二さんにも影響を与えたであろう「メインストリートのならず者(72)」も、“和製ドールズ”なルージュのタコさんが♪ベイベェ……と真似した「イッツ・オンリー・ロックン・ロール(74)」も、恍惚として昇天しそうになる瞬間はあるんだけど、間に合わせの様な曲がだらっと流れ始めると途端に萎えてしまう。しかしそんなが人生か。
という訳でこれを読まれたストーンズフリークの方々、私に会ったらストーンズの真髄をとくと説いてやってくださいまし。ちなみにキヨシローのRCで一番好きなアルバムは「ブルー(81)」です。初っ端グリッタービートで始まるからなのか何なのか分かりませんが、多分いちばん再生しております(次点に「プリーズ(80)」、これもキモチEのでよく聴きます)。ストーンズだけじゃなくRCの話も誰かと……してみたい(←中川勝彦)、しかしする人がおらん(♪プリーズアンダスタンミィ)
それではまたオリンピックが終わる頃に
きっと御目にかかりますアフターマス