早すぎる知的理解は、人間が体験を味わう機会を奪ってしまうのである。さりとて、「知る」ことがなさすぎると、災害をどんどん拡大していって収拾がつかなくなってしまう。実際には、ある程度のことは知っていても、事が起こるとあわてふためき、それでも知っていたことがじわっと役立ってきて収まりがつくという形になることが多い。
ユング心理学の偉いせんせが、そう云っていたので。
我々に体験が少な過ぎたし、災害が多過ぎた。神童には足りな過ぎたし、逆境には幸せ過ぎた。人生に丁度がなくて、過ぎたは過ぎたでもう去った。神曰く、人間はこん位が丁度ええて!
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5月17日、友達の誕生日──とっておきの今日はフォークでロックな貴方に、この曲を贈ります。
前回に引き続き、5月生まれのお友達へのプレゼントとして、同時に(今までの流れを考慮した上で)34本目のカバーMVに相応しいものとして、今回の楽曲を選びました。
“17日に演るべきカバーはフォークだな”と思案を巡らせ、ボブ・ディランや高田渡、友部正人に吉田拓郎など聴き漁り、どういうアレンジにしようかと寝床で弾き語ってたんだけど、何気なく昔に買った泉谷しげるのベスト盤を聴いていたら、この「白雪姫の毒リンゴ」が頭から離れなくなりまして(まだこの時点では誰の何をどうカバーしようか?という状態)。早速インターネッツでコードを調べ、使うのはD、G、A7、D7の4つだけか、さあ歌詞見ながら一丁やりまっかと練習し始めたら、ボロボロ泣けて練習中断(笑)
白雪姫(白目)とリンゴ(毒なし)とNori MBBM(黒目、毒あり)
「あの映画マジ泣いた」「今回の新曲ヤバすぎ号泣」とか云う巷の声に共感できた試しがなく、感動の落涙なんて三十余年で二回、その内の一回は8歳の時に友達3人と映画館で「帰ってきたドラえもん」を観た時でドラえもんへ全幅の信頼を寄せていた年頃だったから本来はノーカンにしたいけど、今回の泉谷さんのはマヂヤバすぎた
作詞・作曲者を見ると泉谷さん本人でなく“門谷憲二(かどやけんじ)”とあり、どっかで見たよーな?とググれば数えきれない程の歌謡曲を作詞されていて、カラオケの十八番「君は薔薇より美しい」のクレジットで見覚えがあったんだ、と合点でい(それから“純情商店街”のねじめ正一の中学の同級生だった)!!
そんな作詞家・門谷さんの知られざるナンバー、そのメロディーも然ることながら、詩の一節一節を歌い進めるごとにしみじみ沁みて(よかったら歌詞も読んでみて下さい)、今の自分、令和三年の自身、そこに居て、この曲にて、白雪姫の毒リンゴから、ロックンロールの自殺者まで、つまりボウイもボランもディランに憧れフォークのちグラムとなり、泉谷も拓郎も加藤和彦によってグラムよりフォークとなる、俺の中で、夢の中で、井上陽水奥田民生「ありがとう」
以上“マジヤバな件 a.k.a 人生三度目の落涙”により、もうこの曲しかない!と冒頭の他のカバー候補は全て吹き飛び、「白雪姫の毒リンゴ」な訳で御座居升。
赤いリンゴとストラトちゃん(桜木町のとある宿にて撮影)
我が演奏に関してですが、前回、前々回、前々々回より引き続き、潔くギター一本による弾き語り、俺の最近の流行り。ただ今回のエレキ弾き語り、いつもだとクリーントーンか歪みMAXで演るところを中途半端に歪ませた音色で弾き語り致した。良く言えば“60年代後半のワイルドでいなたいアメリカンロックなサウンド”、悪く言えば“ギター初心者が買ったばかりのエレキ入門セットに付いてるメーカー不詳の小型アンプで「んん、もっと歪ませたいのに……」って弾いてる時のオーバードライヴしたチープな音”。クリーントーンかディストーションか、みたいな振り切れた感じでなく、飾らずラフに演りたかったから。
彼のレーシングゲーム「グランツーリスモ」で、とりあえずどの車も“フルチューン”までして走り込んだ挙げ句、無改造かつセッティングもいじらないで市販車の“どノーマル”な走りに四苦八苦する楽しさを覚え、「スポーツマフラーに変えてみよ」「少し軽量化するか」「ROMチューンもしちゃお」という“ライトチューン”の範囲で市販車を自分好みに染めて行く喜びに浸っている←イマココな状態、に似ている。
サラダも肉もスープもデザートも!でなしに、そばかうどんにゴボウ天とかあれば大満足である。いや紅ショウガ天も最高だ。カツ丼とかもはや天国だから今は遠慮しておくし、「Kiss...いきなり天国」はアップビートのデビュー曲で柴山さんが作詞してるし、豪勢なナポレオンジャケットを着たのはボナパルトだし、俺らNori MBBMで今回はデニムジャケットだし、でもこのジャケットはマヂでイカしてて岡山のTCBジーンズがヴィンテージのリーバイス507XX所謂“2nd”を現代にモディファイしたヤツのリニューアル前の旧モデルでシルエットもああセカンドといえばニルヴァーナで好きなアルバムはアングラな1stかハードコアな3rdということになるが今の時分の自分なら2nd「ネヴァーマインド」の骨太で大らかな演奏と自然体で素直なカートの叫びに全てを委ねたいしあのアルバムに収録されている“ドレイン・ユー”というゴキゲンなナンバーの一節がいま脳内でぐるぐると渦を巻いている──
“You’ve taught me everything without a poison apple
君は毒リンゴ以外の全てを俺に教えてくれた”
~Nirvana「Drain You」より~
前段の後半から句読点もなく読みづらくなってゴメンネ、つい毒リンゴ以外の全てを君に教えたくなって。
上がこれなら下もこれぢゃあデニムオンデニム(宿のご主人に撮って頂いた)
素直に戸惑い、ありのままが良い。優柔不断で、中途半端を愛してる。
いつも春になると、適当に業が深くなる。例年より梅雨が早い、珍しく俺も降る。
5がつにはなをさかす、わたしににあいのなを
今年の五月もそう、刻まれた