「パーフェクト・デイ」か「サテライト・オブ・ラヴ」か「ヴィシャス」か、はたまたモット・ザ・フープルもカバーしていたヴェルヴェッツの「スウィート・ジェーン」か、カバーしたいルーの曲が沢山あって、直前までこれらの曲をギターで弾いていたのですが、「ワイルド・サイドを歩け」の詩を見て“ピンッ”と来たので、結局一番有名なこの曲に決めました。
この言わずと知れた名曲は、ルーが芸術家のアンディ・ウォーホールと出逢い、その界隈にいたドラァグ・クイーンなどのアウトロー達を描写する事で、(当時のニューヨークにおける)都市生活の退廃や、タブーとされていたものへ目を向けた画期的な楽曲でした(それが英米のチャート上位にランクインしたってんだから、ヴェルヴェットなアンダーグラウンドがオーバーグラウンドしたってんだから、凄い)。
今回、この曲の詩をルーの体験そのままに訳しても良かったのですが、やはり日本で生まれ育ってきた身としては己が実体験を通し、我が国における都会の殺伐さを、其処に生きる人々の生活を、身近に見てきた誰かの人生を、(ルーがアメリカにおいてやった様に)生々しく描くことにしました。その為、日本人にとってニューヨークより馴染みのある“渋谷”、“新宿”、“池袋”等に生きる人々が登場いたします。下記、ルーの原詩と手前の日本語詩をば。
「ワイルド・サイドを歩け -Walk on the Wild Side-」
作詞・作曲:ルー・リード
Holly came from Miami F.L.A.
Hitch-hiked her way across the U.S.A.
Plucked her eyebrows on the way
Shaved her legs and then he was a she
She said, hey babe, take a walk on the wild side,
Said, hey honey, take a walk on the wild side.
Candy came from out on the island,
In the backroom she was everybody's darling,
But she never lost her head
Even when she was giving head
She sayes, hey baby, take a walk on the wild side
Said, hey babe, take a walk on the wild side
And the colored girls go,
Doo doo doo doo doo doo doo doo doo
Doo doo doo doo doo doo doo doo doo…
Little Joe never once gave it away
Everybody had to pay and pay
A hustle here and a hustle there
New York City is the place where they said:
Hey babe, take a walk on the wild side
I said hey Joe, take a walk on the wild side
Sugar Plum Fairy came and hit the streets
Lookin' for soul food and a place to eat
Went to the Apollo
You should have seen him go, go, go
They said, hey Sugar, take a walk on the wild side
I said, hey babe, take a walk on the wild side, alright, huh
Jackie is just speeding away
Thought she was James Dean for a day
Then I guess she had to crash
Valium would have helped that bash
She said, hey babe, take a walk on the wild side
I said, hey honey, take a walk on the wild side
And the colored girls say
Doo doo doo doo doo doo doo doo doo
Doo doo doo doo doo doo doo doo doo…
日本語詞:Nori MBBM
渋谷の交差点でうろうろ
下品で馬鹿そうな黒服が
そいつは道行く彼女に声掛け
相手にされなくても言うのさ
“行かないかい?ワイルド・サイド
ねえ、ハニー
Take a walk on the wild side”
日曜日の歩行者天国
生臭い新宿の裏路地
ふらふらにもたつく女が
くたびれた男に言うのさ
“行こうよ、ワイルド・サイド
ねえ、オヤジ
Take a walk on the wild side”
歌おうよ“ドゥ、ドゥドゥ、ドゥドゥ、ドゥ…”
恋人を乗せて走ってた
池袋のごちゃごちゃした道を
車が出るのを見計らって
飛び出してきて轢かれた男が言うのさ
“払ってもらうぜ
慰謝料を
Take a walk on the wild side”
今はこの街にいるのさ
初心を忘れそうになって
適当な服で出歩いても
誰にも何にも言われやしないのさ
“ここはワイルド・サイド
Hey babe, Take a walk on the wild side
オーライ、ハッ”
黒服のぴょんぴょん頭のあいつも
まっすぐに歩けない男女も
当たり屋のあのクソ野郎も
売れないオイラも覚えているのかい
“ねえ、ワイルド・サイド
こっちで合ってるの?
ワイルド・サイド”
歌おうよ“ドゥ、ドゥドゥ、ドゥドゥ、ドゥ…”
音源についてはお馴染み、己がヤマハのアコギとコルグのシンセサイザーの重ね録りで、リズムトラックは原曲よりもロックのエイトなビートに寄せて作りました。ルーの歌う原曲では終盤、デヴィッド・ボウイが師事していたとある先生のサックスソロが入るのですが、俺は俺お得意のピッコピコシンセサイザーを弾いて演りました。
ミック・ロンソンみたく上品で成熟したアレンジが出来ないから、俺は俺なりのノスタルジーでカバーMVするしかないのだ。子供の頃の幸せな記憶ってあるでしょ?ファミコンとかゲームボーイとかやっていた家の中にいる時間、それがピッコピコシンセサイザーの懐かしさに繋がる訳です。
汚い字と幼稚な絵で済まないが、撮影前にイメージを可視化するため用意したメモ
映像に関しては、MVのイメージを先にメモして簡単な進行表にまとめる、という事を試しにやってみました。折角の梅雨時なので“雨降るトーキョー”をカメラに収めようと思い、(奇しくも“傘の日”であった)6月11日に渋谷・新宿・池袋を一気に駆け巡り、2、3時間ヴェルヴェッツを聴きながら、70~80本の動画を撮って参りました(編集時に殆どの素材を泣く泣くカット)。その甲斐あってイメージ通りのMVを撮る事が出来たぜ!!
労力と出来の兼ね合いを考えれば、いつもより効率は悪かったと思いますが、“思い描いていた事を狙い通りに完成させた”という達成感と収穫がありました。
弾き語りの撮影は(梅雨の間に少しだけ晴れた日に)ここ高円寺のとあるビル屋上にて
さあ暑くなってきた、梅雨も明けて夏本番!!風鈴がチリンチリン鳴っていた母方の実家の庭や縁側の風景をふと思い出す、祖父の囲碁と日めくりカレンダー、テレビじゃ野球中継が流れていたりしてね。
ツイッターでは告知したけど、7月1日にUnfinished Balladesのライヴがあります。久し振りに演るから、仏滅だけど観に来てね!!